いろは親水公園の民間委託について考える

いろは親水公園魅力倍増事業(公募設置管理制度)

志木市はいろは親水公園を民間委託しようとして公募設置管理制度を設けて事業者を募集していましたが、いつのまにか決まっていたようです。以下は、市が公開しているいろは親水公園整備・管理運営事業に係る設置等予定者選定結果という文書からの引用ですが、ちょっと気になる部分があります

ただの随意契約と変わらないのでは?

市はこの事業者の選定を民間活力を募る公募方式として広く募集していたはずですが、結局応募団体は1団体だけでそのままそこに決まったようです。これではただの随意契約と何が違うのかわかりません。それなりの審査を行ったというのでしょうが、随意契約だってちゃんと審査するのが当然です。また随意契約においても複数の候補者から選定するのが望ましいはずですので、1団体しか応募がなかったのであれば、今回の設計・施工・維持管理を一括丸投げする公募方式は見直す必要があったのではないでしょうか?1団体しか応募がないということは今回の公募方式自体に無理があったということだと思います

なぜ1団体しか応募がなかったのか?

答えは考えるまでもなく民間企業から見て利益が得られる見通しが薄かったからでしょう。もともと募集時の条件として村山快哉堂前での飲食事業と左岸のウォーターパークとその他の公園等の整備があげられていて、選定された事業者が作成した資料(いろは親水公園整備・管理運営事業 提案の概要)もそれに沿っていますが、この規模の公園で収益をあげることはかなり難しいと思われます。応募前の市への質問を見るとウォーターパーク有料化を検討している企業もあったようですが、設置する面積を考えると有料化して人が集まるほどの大型のパークは不可能でしょう。そうすると収益としては最初の設置工事は旨味があるかもしれませんが、あとはカフェからの収益とイベントによる収益くらいしか見込めません

事業がうまく行かなければ結局市民負担が増えるのでは?

この事業者は1度選定されると20年間権利が続くそうですが、思うように収益が上がらなかった場合でも20年間責任を持って運営してくれるのでしょうか?村山快哉堂裏には芝生広場とカウンターデッキ、左岸にはウォーターパーク以外にも幼児用遊具や健康器具などが設置され、維持管理には結構な費用がかかりそうです。カフェの収益の一部をメンテナンスに使うという約束らしいですが、予定通りの収益が上がらなくてもメンテナンスに責任を持ってくれるのか?途中で撤退してしまうことはないのか?結局市側の負担=市民負担が増えてしまうことはないのか?心配が募ります

市役所の人たちは満足しているのか?

私はこの問題を考えるたびに「市役所の人たちは満足しているのか?」と思います。市の中心的な公園となるいろは親水公園を市民と一緒になって作り上げていくプロジェクトを立ち上げて最初から最後まで自分の仕事として全力を尽くしたい!と思う人もいるのではないか?そういうのが市役所の仕事の醍醐味の一つではないのかと思います。ガイドラインだけ作ってあとは民間に20年間丸投げって寂しくないですか?私も一民間人なので別に一概に民間を否定する気はありませんが、高い料金を払って民間活力を買うよりは、市役所の中に人材を育てる投資をした方が長い目で見たら市のためになるのではないかなと思います。いや、民間使ったほうが安いよというかもしれませんが、それはその民間企業が非正規労働者などを安くこき使うからであり、そういう格差社会を広げる民間「活力」には私は賛同できません(私自身ずっと非正規で働いてきたのでその不条理さは身にしみています)。現市長の香川さんは民間活力がお好きなようですが、市役所活力だってあっていいはず、そしてそれを作ることこそが市長の仕事なのではないのかと問いかけたいです

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