埼玉県虐待禁止条例の一部を改正する条例
埼玉県議会令和5年9月定例会に提出された自民党県議52名の連名による議員提案の議案25号「埼玉県虐待禁止条例の一部を改正する条例」が大きな問題になりネット経由で全国から批判が集まる中で常任委員会(福祉保健医療委員会)を通過したにも関わらず本会議前に自民党が取り下げるという異例の事態になりました
まるで少子化促進条例
この条例案では以下のようなことまでが「放置」「児童虐待」とされ、養護者に対しこれらを禁止(小学3年まで)またはしない努力義務(小学4年から6年まで)とするというもので、しかも違反に対する通報義務を課して県民相互に監視させるという陰湿な条項まで含んでいました
- 子どもたちだけで自宅で留守番させる(高校生のきょうだいがいても不可)
- 子どもだけ家に残してゴミ捨てに行く
- 子どもたちだけで公園などで遊ばせる
- 子どもたちだけで登下校や通塾させる
- 子どもにおつかいさせる
この条例案に対して「範囲が広すぎて守れるわけがない」「子育ての現実をしらない」「もう埼玉では子育てできない」などの怒りの声が一気に高まり、県議会では圧倒的優位(93議席中58議席)な勢力をもつ自民党が世論に負けて取り下げることになりました。このことは条例案の内容の低劣さとともに民主主義の力は健在であることを示したものとして埼玉県政の歴史に記録されるべきものと思います
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次の県議選まで忘れずに
前回の県議選は2023年4月でしたので途中で県議会の解散がなければ次は2027年になります。それまでに風化してしまわないようにこのトンデモ条例を作ろうとしたトンデモ県議のみなさんのお名前をここに列挙しておきます(敬称略)。しばらくは鳴りを潜めるでしょうがいつまた手を変え品を変えておかしな条例を画策するかもしれないので要注意でしょう
常任委員会(福祉保健医療委員会)でこの条例案に賛成した県議(7名)
<自民党>
・柿沼 貴志
・渡辺 聡一郎
・木下 博信
・日下部 伸三
・小久保 憲一
・小谷野 五雄
<公明党>
・戸野部 直乃
この条例案を提案した議員(すべて自民党・52名)
・田村 琢実
・齊藤 邦明
・松澤 正
・中屋敷 慎一
・荒木 裕介
・白土 幸仁
・宇田川 幸夫
・逢澤 圭一郎
・小久保 憲一
・小谷野 五雄
・神尾 高善
・梅澤 佳一
・新井 一徳
・武内 政文
・細田 善則
・千葉 達也
・小川 真一郎
・岡地 優
・新井 豪
・立石 泰広
・永瀬 秀樹
・岡田 静佳
・内沼 博史
・横川 雅也
・飯塚 俊彦
・浅井 明
・吉良 英敏
・美田 宗亮
・藤井 健志
・木下 博信
・関根 信明
・高木 功介
・松井 弘
・渡辺 大
・高橋 稔裕
・阿左美 健司
・杉田 茂実
・小川 直志
・柿沼 貴志
・林 薫
・尾花 瑛仁
・金子 裕太
・保谷 武
・松本 義明
・東山 徹
・渋谷 真実子
・須賀 昭夫
・長峰 秀和
・鈴木 まさひろ
・森 伊久磨
・渡辺 聡一郎
・栄 寛美
志木市選出議員の反応
鈴木正人県議(南第17区:志木、無投票当選、自民党)
取り下げが決まるまではダンマリでしたが取り下げ後にブログで以下のようなことを言っています
穂坂泰衆議院議員(埼玉4区:朝霞・志木・和光・新座、自民党)
こちらも取り下げ後にブログで以下のようなことを言っています(スクリーンショットなので「損声」などは原文のままです)
実際に子育てに奮闘中の県民への共感がない
上の2人のブログを読んでも現に子育てに奮闘中の県民への共感が少しも感じられません。たとえば埼玉県は学童保育の待機児童数が全国ワースト2位だそうでこれこそまさに県議や国会議員が全力をあげて取り組むべき問題なのにしらんぷり、とても残念です