志木市の新たな目玉イベントについて考える

1日で約1530万円かける新イベント

志木市は令和7年10月25日土曜日にいろは親水公園で新たなイベントを行うそうです。この1日のイベントに費やす予算は約1530万円。市役所のHPによれば以下が概要になります

後世に残る志木市の目玉イベント

とにかく有名なイベントにしたい?

このイベントの特徴は最初から「後世に残る」を目的に企画されていることで、実行委員会の名称自体が「志木市後世に残る志木市の目玉イベント実行委員会」で、前身の検討委員会の報告書も「後世に残る志木市の目玉イベント検討委員会検討結果報告書」と、何が何でも「後世に残る」ことが主眼のようです。なぜそんなに「後世に残る」にこだわるのか?はたしてそれは多くの市民の願いなのか?それとも市長の自己満足に過ぎないのか?そこに税金約1530万円の価値があるのか?よく考えてみたいと思います

その割にはありふれた企画内容

現時点で公表されている内容は「キャンドルやイルミネーション、音楽ステージ、飲食ブース」ということで今どき珍しくもなんともない印象があります。いろは親水公園中洲に大きめのイルミネーションをつくりメイン会場の左岸からも見えるようにするなどの案もあるようで、確かに約1530万円もの予算を使っていろは親水公園中を大量のロウソクと電飾で飾る、あるいは、やるかどうかは知りませんがドローンやプロジェクションマッピングなどを使ったりすればそれなりの見栄えは演出できるかもしれませんが、そこにたった一晩で約1530万円もの税金を使う意味があるとは思えません

コミュニティの醸成?

市はこのイベントの目的に「コミュニティのさらなる醸成」を掲げていますが、いろは親水公園の大規模キャンドルイベントがコミュニティの醸成とどう関係するのか意味不明です。「後世に残る志木市の目玉イベント検討委員会検討結果報告書」によると「参加者が一緒になって、それぞれの願いや思いを込めたキャンドルに火を灯し、また、夜の調べに耳を傾ける光と音楽のイベント開催を通じて地域の一体感や絆を深めることで、 コミュニティのさらなる醸成を図る」とありますが、空想とか願望の域を出ていません。現代の都市社会におけるコミュニティの醸成ってそんな簡単なことではないはずです。また大規模イベントでは市外から多数の参加者も来るわけで、地域コミュニティとこのイベントの関連性は薄まるばかりだと思われます。「コミュニティのさらなる醸成」は単なる一過性のイベントに多額の税金を使うための「大義名分」をこじつけているだけなのではないでしょうか?

歴史の再発見?

また同報告書には、「郷土・志木市の魅力や歴史を再発見する機会とし」ともありますが、キャンドルイベントと歴史の再発見になんの関係があるのかまったく理解できず、もはやこじつけにすらなっていません

地に足のついたイベントを

コミュニティの醸成は小規模イベントで

志木市が本当にコミュニティの醸成を進めるイベントをやりたいのであれば、大規模イベントではなく市内各地で小規模イベントを行う方がはるかに有効です。近所に住んでいてもお互いに顔もよく知らないような希薄な人間関係が一般化している中で、災害時の助け合いなどを担えるコミュニティを醸成するためには近所同士で交流できるようなイベントこそが有効でしょう。大規模イベントでは近所同士の交流などは図りようもありません。コミュニティは「後世に残る」ことより「地に足のついた」イベントでこそ醸成され得るはずです

かまどベンチを活用しては?

具体案を1つ。別項『かまどベンチ』にも書きましたが、現在市内14の公園にかまどベンチが設置されており、災害時の炊き出しなどが可能になっています。しかしその存在や使い方が市民に周知されているとは言い難く、設置しただけの持ち腐れ状態になっています。もしかしたら一部の町内会では設置を試したこともあるかもしれませんが、まだまだ十分に周知されているとは言えないと思います。例えば市内14公園一斉にかまどベンチを使った炊き出し実習イベントなどをやってみてはいかがでしょうか?地域ごとに住民が協力して運営することで、住民の自然な交流が生まれますし、各公園を回る炊き出し食べ比べスタンプラリーなどやっても楽しめるかもしれません。また食材等に市が補助を出したとしても約1530万円もかかることはないでしょう

最後に

約1530万円かけていろは親水公園を大量のロウソクと電飾で飾り、プロ奏者もよんで音楽を流せばそれなりのイベントにはなるかもしれません。マスコミに報道されて「後世に残った!」と市長が「業績」を誇れるのかもしれません。しかしその日その場所に参加できる市民は限られています。イベントの名称は「志木でリラックス」を意味する「シキリラ」だそうですが、イベントのある土曜の夜にも働いている市民もたくさんおり、その人たちが収めた税金もこれに使われるわけで、この名称を皮肉に感じる市民もいるかもしれません。多様なイベント自体は結構ですが、たった一晩で約1530万円も税金をつぎこむようなイベントには強く疑問を感じます。お金をかけずに楽しめるイベント、マスコミに注目されなくても市民が楽しめるイベント、真にコミュニティ醸成に役立つイベント、市はそういうイベントこそ考えるべきではないでしょうか?また1日のイベントに約1530万円も使う余裕があるならそのお金を福祉に使うべきだとも思います。約1530万円は令和6年3月に市が廃止した福祉バスふれあい号の1年分の費用平均(約1623万円)に近い額です

情報公開を

後世に残る志木市の目玉イベント検討委員会検討結果報告書」によると企画にあたり、12回の検討委員会と1回の関係者ヒアリングが行われたようですが、その議事録の公開を求めます

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>今井あさと

今井あさと

埼玉県志木市在住。敷島神社の近くに住んでます。27年間ほど都内の私立高校で非常勤講師をした後にフリーランスのプログラマ。非正規一筋の人生です(笑

非常勤講師で教えていたのは公民科(政治経済・現代社会・倫理など)。今でも政治や社会に強い関心があり、志木市の政治についても詳しく見てみようと思いこのようなブログを立ち上げました。志木市政へのご意見番を目指します(笑

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