志木市教育委員会の不誠実な珍問答

教育委員会の教育水準を疑う珍問答

志木市のHP内の志木市小中一貫教育ポータルサイトに「義務教育学校についてのよくある質問(Q&A)」(令和6年10月18日付)が掲載されました。以前にも公開されていた同様のものの焼き直しのような内容ですが、相変わらずの不誠実な珍問答集となっていてあきれます

上記は市が志木2中学校区の3校を合併して作ろうとしている義務教育学校についてのQ&Aの冒頭部分ですが、2つの内容を要約すれば以下のようになります

■1つ目(1クラスの人数)

Q:大規模校になると1クラスの人数が増えるのでは?

A:クラスの定員は変わりません

■2つ目(先生の数)

Q:大規模校になると先生が減るのでは?

A:これまでと同じ基準で配置されます

いずれの回答も増えるとも減るとも答えておらず、自らQを立てておきながらそれに少しも答えないという珍問答になっています。こんな文書を志木市の公教育を司る教育委員会が作って臆面もなく公表しているのですから市民としては恥ずかしい限りです

珍問答の正体は問題の本質隠しと姑息なごまかし

そもそもこのQ&AはQ自体に問題があります。いずれも「大規模校になると」としていますが、ここで問うべきは、志木2中学校区の義務教育学校化で予定されている「2小と4小の小学校同士が合併すると」ということです。合併してもしなくても法令によるクラスの定員(35人)はかわりませんが、定員とは文字通り1クラスあたりの児童数の上限であり実際の1クラスごとの児童数とは異なります

35人学級の学級数の計算方法

学年ごとの学級数は「学年の児童数合計÷定員(35)、小数点以下切り上げ」という計算方法で算出されます。以下はその計算例ですが児童数合計が35の倍数のケース(確率は1/35)で全学級の児童数が定員(上限)の35になりますが、それ以外のケースでは小数点以下切り上げがおこり学級数が1増えるため1学級あたりの児童数平均は35以下になり下表のように23.7(23・24・24の3学級)というような少人数になることも少なくありません

そして、学級編制は学校別に行われますので合併しなければ小数点以下切り上げによる学級増のチャンスが2校合計で最大2回あるのに対し、合併してしまえばそのチャンスは最大1回しか発生しません。年度によって児童数は変動するため数字の妙で有利不利が変動することはありますが、総じてみれば学級増のチャンスが少ない合併の方が高確率で学級数が少なくなり1クラスあたりの児童数が増加します

実際の志木2中学校区のデータでみると

以下は志木市が公表している令和6年度(4月1日現在)の児童数に基づいて計算した実際のデータです

上表で1学級あたりの児童数をみると、志木2小では小数点以下切り上げの効果が大きく、全学年が30以下、1年は25以下というとてもゆとりのある学級編制になっています。志木4小では2年と3年が最大値になってしまっていますが、4年と5年は最小値になっており1年と6年も30以下。注目すべきは合併後で3年がギリギリ30以下になったものの残り5学年は30以上で4学年が最大値になっており、最小値の学年は1つもなく明らかに不利な教育環境になっています。これは学級数算出の際の学級増のチャンスの最大回数の違いに起因しますので、この年度がたまたまなのではなく、35人学級の計算方法が変わらない限り程度の差はあれども毎年確実に合併後の学校の方が不利になります。義務教育学校自体の問題は別に論じますが、義務教育学校であろうが従来の形態の学校であろうが小学校同士あるいは中学校同士が合併すれば必ずこの問題は発生します。志木市教育委員会は「定員はかわりません」などと論点をそらしてこの問題を隠そうとしています

先生の数は減る

上表によれば合併した場合、学級数は4減少しますので当然その分の先生が4人減ることになります。志木市教育委員会はこれをごまかすために「同じ基準で配置」とだけ書いて、その基準を実際に当てはめたらどうなるか(減る!)を書こうとしない極めて不誠実な回答となっています。そして残った教員は担任するクラスの児童数が増える上に、減った4人が受け持っていた校務分掌などを負担することになりますので、今まで以上に忙しくなり、一人一人の児童にきめ細かい指導をする時間が削られていってしまうのではないでしょうか?

一方Q&Aでは「義務教育学校では、通常の基準とは別に、先生を配置できる制度を活用」などとさも先生を増員できるかのように匂わせる記述がありますが、議会答弁によればこれは県に教員の加配を要請することらしいです。しかし義務教育学校開校直後は県も多少は加配に応じるかもしれませんが、合併で減った人数分を上回るほどの加配などあり得るのか?県内のどの自治体も加配を望んでいるのに志木市にだけ永続的に加配があるとは考え難く、先生が増えるような期待はできないのではないか?だからQ&Aでも「増員できる」とは一言も書いていないのでしょう。またスマート教員などの志木市独自の教育支援云々は市内の全公立校に公平に行われるべきものですので、義務教育学校にしようがしまいが関係のない話です

養護教諭や事務職員は減るのか?

上記は珍問答3つ目、またもや「減ることはないですか」と自分で問いかけておきながら減るとも増えるとも明記していませんが、「複数配置できる見込み」とさも増えるのかと思わせる記述。しかしこの義務教育学校は2小・4小・2中の3校を合併するもので、今でも各校に養護教諭も事務職員もそれぞれ最低1名ずつ、合計で最低3名ずついるはずですので、「複数」が2名を意味するなら減ることになります。そしてこれまでの文脈をみると増えると書いてない以上減ると考えたほうがいいのではないかと思います

日本中の教育委員会がこんなに不誠実なわけではない

ここまでみてきたように志木市教育委員会は市民の疑問に答えるような振りをしながら実はまともに答えずミスリーディングを誘うかのような曖昧な回答に終始しています。私はこのような教育委員会の姿勢がとても情けなく悲しく思います

上記は佐世保市の『義務教育学校に関する主なご質問と回答』という文書の一部ですが、学校合併による教職員の数に関する質問に対して、小学校1校と中学校1校の合併なら先生は減らないが養護教諭や事務職員等は減る可能性がある、小学校2校と中学校1校が合併(志木市と同じパターン)の場合は小学校がクラス減になり先生が減ることもあると正直に書いています。日本中の教育委員会すべてが志木市教育委員会のように詭弁を弄して市民の批判をかわそうとしているわけではありません

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>今井あさと

今井あさと

埼玉県志木市在住。敷島神社の近くに住んでます。27年間ほど都内の私立高校で非常勤講師をした後にフリーランスのプログラマ。非正規一筋の人生です(笑

非常勤講師で教えていたのは公民科(政治経済・現代社会・倫理など)。今でも政治や社会に強い関心があり、志木市の政治についても詳しく見てみようと思いこのようなブログを立ち上げました。志木市政へのご意見番を目指します(笑

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