志木市教育委員会の行き当たりばったり狂想曲

志木第二中学校区義務教育学校施設整備の概要

志木市教育委員会は多くの市民の反対にもかかわらず、志木2中学校区の合併による義務教育学校化を推し進めていますが、その詳細については二転三転し、いつまでたっても明確な計画を示すことができずにいました。そして2月末になってやっと志木第二中学校区義務教育学校施設整備の概要(以下、「概要」)なるものを発表しましたが、これも「概要」とすら呼べないようなお粗末な内容で、3月議会でも様々な質問が出たものの、詳細については答えられず今後検討しますをくり返す相変わらずの曖昧な答弁に終始したそうです

行き当たりばったりの「計画」

空中渡り廊下じゃなかったのか?

当初2小校舎と2中校舎を空中渡り廊下で連結すると言われていましたが、この「概要」では地上の渡り廊下になっており驚きました。突然の変更理由を問われた教育委員会は最初から「空中」といった覚えは一度もないなどといっているそうですが、議会議事録をざっと検索しただけでも6人の議員(高山、田畑、上野、古谷、水谷、与儀)が「空中渡り廊下」と言って質問し、教育委員会側はそれに対し空中とは限らないなどと訂正することもなく、そのまま受け答えしていますので、空中渡り廊下を前提に議会の議論が行われていたことは明らかであり、地上も検討していたのにあえてそれを隠していたのだとしたら非常に不誠実な答弁を行っていたことになります。本当は教育委員会としては2つの校舎の「一体化」を演出するために是非とも空中渡り廊下をと考えていたものの、大変な金額になることがわかったので渋々地上に切り替えざるを得なかったというところではないかと推測します

疑問だらけの「HELLOスクエア」

空中渡り廊下の構想が頓挫し地上渡り廊下に切り替えたことで、突然持ち出されたのが「HELLOスクエア」なる案。名称自体が仮称とのことで行き当たりばったりにひねり出された感満載です。下図がそのイメージ図ですが、2小と2中の校舎を地上渡り廊下で結ぶだけでは「一体化」の体裁づくりに足りないと考えたのか、2小と2中の校門と壁を撤去し、校舎間の空間は誰でも入れる自由な広場にしようとしているようです。「壁も校門もない学校」ってすごい理想かもしれませんが、残念ながら学校をめぐる様々な犯罪が日々報じられている今の日本社会では非現実的であることは論をまたないでしょう。志木市の教育長はいつからユートピアの夢想家になったのでしょうか?ちなみに志木市の今年度の予算では「小・中学校防犯カメラ更新工事の実施」に5500万円が計上されていますが、こんなユートピア学校が作れるなら必要ないことになるでしょう

地上渡り廊下はリスクだらけ

また、下図で赤く塗った部分は市道(市道1013号線)です。自動車は通れませんが日常的に自転車と歩行者が通行しており、「HELLOスクエア」を誰でも入れるようにせざるを得ないのはこの市道があるからです。現在でも2小と2中の児童生徒が登下校時にはここの両側の昇降口に集中しますが、合併により4小の400人以上の児童が追加になること、校門という動線がなくなり児童生徒の流れが無秩序になりやすいこと、そこに一般市民の歩行者や自転車(全員が降りて押すとは限らない)が交錯することにより、今よりも事故の危険性が増すと思われます。また市道と渡り廊下が交差する構造だと登下校時以外の休み時間等にも交差部分での事故の可能性があり、四六時中渡り廊下部分の見守り体制を作らざるを得なくなります

これらを「解決」するためには市道をつぶしてイメージ図手前の交差点入口に校門を作ってしまい、一般市民が入れなくすることです(市道反対側も封鎖し学校専用に)。法的にこれが可能かどうかは不明ですが、もしそんなことになったら困る市民は少なくないのではないかと思われます。しかし市道と渡り廊下が交差している以上、上記のリスクも消えることはありません。行き当たりばったりに空中渡り廊下から地上渡り廊下に変更したことで生じた矛盾、そもそもたまたま3校が並んでいるからというだけの理由で合併を言い始めた行き当たりばったりの短慮がもたらした矛盾だと言わざるを得ません。こんな愚かな合併計画はやはり中止するべきだと思います

上のイメージ図と近い画角の写真

その他にも疑問だらけ

この「概要」はその他にも疑問だらけです

  • 4小校舎の具体的な活用方法はいつまでたっても検討中
  • 職員室が2中校舎のみ、2小校舎で何かあったときに即応できるのか?
  • 6年生を2中校舎に配置。給食は小中で献立も費用も別だが2中校舎で2種類作るのか?6年生の給食も2小校舎で作って運ぶ場合屋外移動の衛生面のリスクは?
  • 2つの校舎を行き来し階段を何度も昇り降りする先生たちの苦労が増えるばかりではないのか?
  • これから行う実施設計の予算は7000万円、実際の工事には一体何億使うのか?

校舎というハードウェア以外にも非常に重要な論点があります

  • 小中一貫教育で多様化するライフスタイル・価値観・家庭環境等に対応するというが、合併してマンモス校を作ることはそれに逆行している
  • 小学校同士を合併すると1学級あたりの実児童数は確実に増加する
  • 小学校の卒業式・中学校の入学式はほんとうにいらないのか?相応の儀式を検討というが詳細はいつまでたっても検討中
  • 2中校舎に配置される6年生が中学生からのいじめや暴力の対象になる心配
  • そもそも現在の3校舎体制で小中一貫教育を行うことになんの不都合があるのか?

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>今井あさと

今井あさと

埼玉県志木市在住。敷島神社の近くに住んでます。27年間ほど都内の私立高校で非常勤講師をした後にフリーランスのプログラマ。非正規一筋の人生です(笑

非常勤講師で教えていたのは公民科(政治経済・現代社会・倫理など)。今でも政治や社会に強い関心があり、志木市の政治についても詳しく見てみようと思いこのようなブログを立ち上げました。志木市政へのご意見番を目指します(笑

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