同姓同名・同生年月日の第三者の預金を差し押さえ
令和7年12月16日、志木市は以下の記者発表を行いました。市税滞納者の預金口座差し押さえのつもりが同姓同名・同生年月日の別人の預金口座を差し押さえてしまったという不祥事です

マスコミ報道
この不祥事の背景
公式発表には詳細が書かれていませんので一般論ですが、以下のような構造がこの不祥事の背景であったと思われます
- 国税徴収法第141条(地方税法でも準用)に基づき、行政は滞納者の氏名・生年月日・住所などが一致する口座の有無を金融機関に照会できる
- 金融機関には同法により回答義務あり。この時氏名と生年月日が一致すれば住所が異なっていても該当口座として回答することがある
- 住所が異なっていても該当とするのは被照会者の転居等の可能性があるため
- 行政側は回答された口座が本当に対象者の口座であるかを確認する必要がある
- 志木市は氏名と生年月日が一致しているのだから対象者の口座に決まっていると思い込み確認を怠った
- 約1.2億という日本の人口規模からすれば同姓同名・同生年月日の人が複数存在し得るとは考えが及ばなかった
- 滞納者の住所の移転履歴を確認すれば口座の住所が別人のものである可能性が高いことがわかったはずなのにその確認を怠った
他の自治体でも同様の不祥事が発生
この手の不祥事は残念ながら他の自治体でも起きているようです。同姓同名・同生年月日の別人を誤認して差し押さえを行った事例をネットで検索すると以下のような事例がみつかりました
他の自治体での同様の事例
| 発表 | 自治体 |
|---|---|
| 2025年12月 | 兵庫県上郡町 |
| 2025年10月 | 京都府京都市 |
| 2024年6月 | 東京都福生市 |
| 2024年12月 | 新潟県村上市 |
| 2024年1月・6月 | 群馬県伊勢崎市 |
| 2021年10月 | 神奈川県秦野市 |
| 2021年2月 | 大阪府大阪市 |
他所の経験に学ばない怠惰なお役所仕事
上表のように同様の不祥事が複数発生しているところをみると、約1.2億という日本の人口規模からして同姓同名・同生年月日の人の存在はさほど珍しいことではないということがわかります。預金口座差し押さえは日本国憲法第29条で保障された財産権に関わる基本的人権の問題ですから、行政は預金口座差し押さえにあたってその口座が本当に滞納者のものなのかをしっかり確認する義務があるはずです。それを怠り、漫然と機械的に預金口座差し押さえを行っている自治体が複数あり、残念ながら志木市も今回その一角を占めてしまったわけです。そして重要なことは、ちゃんと住所まで確認している自治体ではこのような不祥事は発生しないので、これは「ほかでもやってるよくあるミス」ですむ話ではなく、「他の自治体での事例を学ぶ姿勢のない怠惰な自治体」の話であり、そこに志木市も入っていたということだと思います。他の自治体の事例に学び業務マニュアル等に住所確認を明記していればこんな不祥事はおきなかったはずであり、志木市長香川武文さんはこれをきちんと反省するべきです
気になったこと
A氏という書き方
冒頭に掲載した志木市の記者発表資料では預金口座を差し押さえられた方を「A氏」と呼んでいます。これは第三者がこの出来事について書く場合には問題ありませんが、本件では志木市は加害者であり、「A氏」は何の落ち度もない被害者なのですから、加害者が被害者を呼ぶ時に他人事のように「A氏」と呼ぶのは失礼で不適切なのではないでしょうか?ちなみに兵庫県上郡町・東京都福生市・群馬県伊勢崎市の同様の文書ではいずれも被害者を「A様」と呼んでおり、こちらのほうが加害者としての立場をわきまえた誠意ある適切な表現だと思います
- 町税の滞納処分の誤りについて(兵庫県上郡町)
- 市税等の滞納処分の誤りについて(東京都福生市)
- 国民健康保険税の滞納処分の誤りについて(群馬県伊勢崎市)
なぜいつも記者発表だけ?
志木市は不祥事があると今回のような記者発表資料は出しますが、市民向けの発表はありません。記者発表資料を読めばわかるだろうとでも言いたいのかもしれませんが、マスコミファースト・市民そっちのけというのはいかがなものでしょうか?
他にもこんなこともありました
志木市の徴税を巡っては過去にこんなこともありました。本件も含めてこの市の徴税って本当に正確なのかと不安になってしまいますね