志木2中学区の3校合併による義務教育学校化について反対する市民団体の方たちのチラシやHPを見たり自分でもいろいろ調べていて新たに知ったことがあるのでまとめてみました
つくば市は「義務教育学校の新設はしない」
つくばエクスプレス開業(平成17年)で都心へのアクセスが飛躍的に向上してからつくば市は人口が増え続け小中学校の新設が必要になりましたが、つくば市は9年制の義務教育学校型を選択し相次いで4校が建設され義務教育学校の先進例として各方面から注目もされてきました。しかしつくば市では平成29年から小中一貫教育の検証を行った結果、今後は義務教育学校は新設しない方針に転換しました
つくば市教育評価懇談会
この検証を担ったのがつくば市教育評価懇談会ですが非常に緻密な調査を行い、平成30年7月に約150ページにわたる詳細な『つくば市の小中一貫教育の成果と課題』と題する調査報告書を発表しました。その147ページに以下の記述があり、現在の志木市での問題を考える上で大変重要だと思いました
第3期つくば市教育振興基本計画(素案)
そしてこの調査報告を受けて当時の教育長(門脇厚司氏)は第3期つくば市教育振興基本計画(素案)を提起(令和元年)しその中(リンク先の文書の43ページ)で以下のように言っています
・・・(すでにある4校の)小中一貫教育の義務教育学校を止めるとは言えないが、5校目以降はつくらない。すでにある4校の義務教育学校については、これからはできるだけ小学部と中学部の分離を意識した学校運営をやりたい。
例えば、今は小学6年生を終えても卒業式もないし、中学生になる際に入学式もない。これからは小学部1年生から6年生、中学部1年生から3年生の区切りとし、小学部の卒業式も中学部の入学式もきちんとやるようにしたい。
新設小中学校はいずれも連携型
その後もつくば市では人口増加が続き学校の新設が必要になりましたが、学園の森義務教育学校の学区では研究学園小学校と研究学園中学校が新設、みどりの学園義務教育学校の学区ではみどりの南小学校・みどりの南中学校が新設予定となっており、いずれも同一の敷地内に別々の校舎を建てて併設し、9年制の義務教育学校ではない従来の6・3制の小中学校が連携するかたちをとり、上記の素案の内容が実現されています
上記は千葉県柏市の義務教育学校開校に関する東京新聞の記事ですが、後半ではつくば市の「併設型回帰」に触れており、つくば市が義務教育学校をやめた理由として以下のようなことがあげられています
- 「1人の校長が職員や施設の管理に加え、子どもたちを細やかに見ていくには限界がある」
- 「本来、全校生の中心として活躍し、責任感が芽生えるはずの小学6年生が、上級生たちに埋もれて中途半端な立場になっている」
これらは志木市の2中学区問題でも保護者の方たちが非常に不安視している点でもあり、つくば市での先例ではこの不安が現実になっていたということが明らかです
志木市教育委員会の態度はあまりにも不誠実
つくば市の例を知らなかったはずはない
私は志木市のHPで公開されている本件関連の文書などにできるだけ目を通しましたし議会も傍聴したり小中一貫教育・義務教育学校に関する地域懇談会などにも参加してきました。そこでの説明はいつでも小中一貫教育には義務教育学校こそが最適という話ばかりで上記のつくば市の例などはかけらも出しませんでした。まさか教育委員会がこれを知らなかったなどということがあるはずもなく(本当に調べてもいなかったのなら教育長も教育政策部長も即辞任すべき)、聞こえのいいことだけ繰り返し都合の悪いことは裏に隠して一切言おうとしない市民への不誠実な態度につよい憤りを覚えます
行政なんてどこも同じ?ではなかった
国会の付帯決議まで無視
平成27年に参議院文教科学委員会で採択された『学校教育法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議』には以下の記述があります
二、・・・<略>・・・市町村教育委員会は、義務教育学校の設置に当たっては、安易に学校統廃合を行わないよう、特に留意すること。また、検討段階から保護者や地域住民等に対し丁寧な説明を行い、その意見を適切に反映し、幅広く理解と協力を得て合意形成に努めること。
三、義務教育学校等における九年間の学びを地域全体で支えることの重要性に鑑み、保護者や地域住民の理解と参画を得るため、学校運営協議会等、組織的・継続的な学校支援体制の整備及び活用に努めること。
現在の志木市は説明会の回数はとても少なく保護者に対するアンケートすら拒否しておりとてもじゃないがこの付帯決議を遵守しているとは言えません。市は一度この計画を白紙に戻して市民との合意形成をはかるところからやり直すべきです