志木と朝霞で土地の強制収用が?

土地収用法適用を認める官報告示

令和6年7月18日発行の官報第1266号(7・8頁)に「関東地方整備局告示第二百三号」が掲載されました。これは和光富士見バイパスの未開通部分のうち、地権者が売却に応じない土地(志木市・朝霞市)の強制収用を行う法的手続きの第一歩(土地収用法第二十条の四の事業認定)となるものです。この告示が即座に強制収用開始を意味するものではなく、今後も地権者との交渉は続けるものの、並行して強制収用実行のための法的手続きも進められ、最終的に地権者の同意が得られなかった場合は土地の強制収用実行(行政代執行)という流れになります。土地の強制収用というとかつては成田空港建設をめぐって大きな社会問題にもなり、今日でも沖縄の在日米軍基地の問題などがありますが、自分の住むこの小さな街で規模は違えど同様のことが行われようとしていることに驚きます。また計画から50年かけても完成させられず、最後はこうした暴力的な手法に頼ろうとする政治の貧困にもあきれます

強制収用に心を痛める政治家はいないのか?

上記の官報8頁の2列目4の(1)の中に本件の土地収用法適用を認める根拠の1つとして国道254号和光川越間バイパス建設促進期成同盟会からの強い要望という点があげられています。この同盟会なるものはバイパス沿線地域選出の地方議員や首長によるものらしく、現在の会長は志木市長の香川武文さん、志木市選出県議の鈴木正人さんなども参加しており、彼らが地元からの「強い要望」を国に出す形を作ることによってこの決定が後押しされてきた。彼らはバイパスが全開通したらそれを自分の政治的業績として誇るのでしょうが、同時に志木市の市長や志木市選出県議が嫌がる志木市民の土地の強制収用促進の旗振りをしたという事実も忘れてはならないと思います。また私の知る限り志木市の市議会議員の中からもこの強制収用に疑義を呈するような発言は聞いたことがない。つまり現在の志木市の政治家の中には市民の土地の強制収用に心を痛めるような政治家が一人もいないということがとても残念です。日本国憲法は第29条において「財産権は、これを侵してはならない。」と明記すると同時に「私有財産は、正当な補償の下に、これを公共のために用ひることができる」としており、これが本件の土地強制収用の根拠にもなっているわけですが、そうであるならこのバイパス事業では「公共のために」犠牲になる人がいるということもきちんと記録されるべきだと思い、私はこの記事を書いています。「公共」の名のもとに合法的に少数者の権利を奪うのなら、少なくともそういうことは市民・県民に広く周知されるべき、それがまともな民主主義だと思います。私は車を使うのでこのバイパスができれば使うこともあるだろうと思います。ただその時、単にバイパスは走りやすいと思うだけでなく、一方にはこういう強制収用の問題などもあったということも忘れずにおきたいと思っています

未開通部分の工事がはじまる

志木市中宗岡のあたりでバイパス未開通部分の工事がはじまったようです
このあたりは本当に閑静な住宅街ですが、バイパスが開通すると住環境は大きく変わってしまうのではないかと思われます

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