和光富士見バイパスについて考える2

SAITAMA珍奇ツアーに和光富士見バイパス

産経新聞の『SAITAMA珍奇ツアー』という記事に和光富士見バイパスのモデル整備地区が紹介されていました

モデル整備地区とは?

和光富士見バイパスの道路の見本として120mだけの道路を作ったもので、下のGoogleマップの航空写真の中央の樹が並んでいる部分です

↑西側から、↓東側から
実際に行ってみるとよくわかりますが、道路の見本と言っても何かまったく新しい工法が採用されたなどの特別なことは何もなく、ただのよくある4車線道路が120mだけ作られているものでまさに珍奇な光景になっています。車止めがあり走行もできません。約10年前の平成25年(2013年)4月に完成したそうです

こんな「見本」を見せられなくてもバイパスの道路とはどんなものか大抵の人は想像がつくだろう思いますが、なぜこんなものを作ったのか?そこには単なる見本以上の目的、バイパス建設の既成事実化という狙いがあったのではないでしょうか?用地買収がいつまでたっても完了しない状況の中、ほんの一部であっても実際に工事をはじめてしまうことで、もうバイパス建設は止められない、立ち退きを断っても無駄だという圧力を地権者にかけることこそが目的であったと考えるのは穿ち過ぎでしょうか?

本当にこのバイパスは必要なのか?

和光富士見バイパス建設の現状

上に青矢印で示した部分は県道40号さいたま東村山線(いろは通り)のセイムスなどがある場所から富士見川越バイパスに接続する部分、現在工事中で今年の4・5月には開通予定(7月に延期になったようです。2023/5/2 追記)。赤い矢印で示した部分が用地買収が終わらず開通の見通しが立っていない部分でモデル整備地区はその中にあります

なぜ50年以上かけても完成しないのか?

別項の『和光富士見バイパスについて考える』にも書きましたが、このバイパス計画は50年以上前の昭和46年(1971年)にはじまったものです。それが50年以上たっても完成しなかったのはこのバイパスを是非とも欲しいと思う人がさほど多くなかったことが最大の理由なのではないでしょうか?もし「このバイパスが完成すれば企業活動に大きくプラスになる」とか「生活の利便性が大幅に向上する」と期待する世論が大きれば、それは地権者に対しての強い圧力になったでしょうし、日本には集票目当てに道路を作りたがる政治家はたくさんいるわけですから強力な政治的圧力が発生し土地収用法による土地の強制収用も早期に画策されたのではないか?それができなかったのは世論の後押しがそれほど強くなく、強制収用という劇薬を用いれば逆に票を減らすのではないかと政治家たちが計算したからではないかと思います。そういう中でいわば苦肉の策の一つとして採用されたのが珍奇なモデル整備地区建設による圧力だったのかもしれません

惰性の公共事業はいらない

今、和光・朝霞・志木・富士見間の移動になにか支障があるでしょうか?川越街道が慢性的に混んでいると言いますが、ではこのバイパスができると和光⇔富士見間、和光⇔川越間の移動時間は何分短縮できるのか?それはどれほどの経済効果をもたらすのか?日本経済が停滞し若者のクルマ離れも進んでいる中、なぜ今だに50年以上前のバイパス建設計画にこだわるのか?単に既定事項だからやめられないというだけの惰性で進めているのではないか?悪しき惰性の公共事業はいい加減やめるべきだと思います

土地収用法による強制収用はやめてください!

別項の『和光富士見バイパスについて考える』にも書いたとおり、今、県は未開通部分の用地取得のために土地収用法に基づく強制収用の手続きを進めており、とても恐ろしい話だと思います

土地収用制度とは

土地収用制度とは公共事業等の用地取得に際し、地権者が売却に応じない場合、各種手続きを経て、最終的には強制的に補償金と引き換えに土地を取り上げてしまうというもの。上の画像は埼玉県のHPでの土地収用制度の説明であり憲法29条を根拠としていますが、一方で憲法13条には「すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする」という規定もあり、地権者が自分の土地を売るかどうかは個人の「幸福追求」の権利に属するものであり、土地収用にあたってはこの権利も十分に尊重されなければなりません。ここで重要になるのが「公共の福祉」というキーワードですが、これは決して国家の利益の前には個人の権利など踏みにじって構わないというようなものではないはずです。上にも述べてきたようにこのバイパス建設は本当に「公共の福祉」のために必要なのか?私にはそうは思えません。あくまでもこの事業を進めるのであれば、県は少なくとも強制力ではなく地権者との誠意ある話し合いのもとで事業を進めるべきです。それには時間はかかるかもしれませんが、すでに50年以上かかっても特に弊害はなかったわけですからあと何年何十年かかっても特に困ることはないのではないでしょうか?本件で本当に珍奇なのはこのバイバス計画そのものなのではないかと思います

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>今井あさと

今井あさと

埼玉県志木市在住。敷島神社の近くに住んでます。27年間ほど都内の私立高校で非常勤講師をした後にフリーランスのプログラマ。非正規一筋の人生です(笑

非常勤講師で教えていたのは公民科(政治経済・現代社会・倫理など)。今でも政治や社会に強い関心があり、志木市の政治についても詳しく見てみようと思いこのようなブログを立ち上げました

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