志木市議会2023年9月定例会一般質問

2023年9月20日〜22日までの3日間、志木市議会9月定例会一般質問が行われたので通して傍聴してきました。3日間の傍聴者は私を含めて5名、5名、17名でした。私が今回の議会に大きな関心を持っていたのはふれあい号の廃止と志木2中学区の3校合併による義務教育学校化でしたが、それぞれ何人かの議員が取り上げていました

ふれあい号廃止について

福祉施設専用の無料巡回バスであるふれあい号を廃止するという問題、事前の市民向けの説明会では高齢者の方から廃止しないでほしいという切実な声が多数出ていました

今回の一般質問でこの問題を取り上げたのは阿部竜一議員、古谷孝議員、水谷利美議員、多田光宏議員の4名でした

阿部竜一議員
廃止した場合の代替案が足りていない、朝霞市ではコミュニティバスなどがあるが?と質問。市は志木市は狭いのでコミュニティバスを作ると国際興業バスと路線が重なり経営を圧迫してしまい、その結果撤退などされると困るのでコミュニティバスは無理と答弁し終了。ずっと昔の公明党ならこういう問題はもっと食い下がったのではないかと思いますが、与党になった今は一応質問に取り上げはするがあまり踏み込まないのだなという印象をもちました

古谷孝議員
ふれあい号は福祉センターに行く障がい者などの交通弱者の重要な足である、ふれあい号の利用が減っているというが弱者はコロナ後の外出の出足が健常者より遅くこれから利用が上向くと思われるのでもう少し様子を見てからにして欲しい、ふれあい号に広告を載せるなどしてコスト削減できないか、無料バス廃止の代替案が有料のデマンド交通というのはおかしい、どうしても廃止するならその財源はすべてデマンド交通にまわし福祉センターに行く場合は無料にして欲しい、などとかなり熱心に質問していました。これに対し市側の答弁はコロナ前から利用者は減っている、経費も値上がりし年1900万かかる、福祉センター行の無料化は他の利用者との公平感のバランスを欠くというものでした

水谷利美議員
ふれあい号は低所得者の貴重な足、高額なデマンド交通は代替案にならない、廃止決定には福祉の心がない、令和3年と4年を比べると利用者が増えてきているのでもう1年様子を見るべき、その他飯能市の例などもあげながら食い下がっていました。市の答弁はあらゆる可能性を考え尽くしたが廃止するしかないの一点張りで市長が感情的になる場面もありましたが、水谷さんの低所得者がデマンド交通使えると思いますか?の問いには最後まで答えませんでした

多田光宏議員
廃止後は福祉施設行きのデマンド交通の割引をできないかと質問しましたが、市は受益者負担が原則、割引は他の事業者への圧迫にもなると答弁して終了

傍聴しての感想
この問題の最大の争点は古谷さんや水谷さんが言うように弱者・低所得者に対する代替案がないこと。市は交通政策に関する基本方針(素案)に「利用者の減少や費用対効果の観点から、ふれあい号を廃止する。」と明記しており、単に経済効率だけを考えてふれあい号を廃止し代わりにデマンド交通を使えと言う。しかし高額(往復で600〜2000円)なデマンド交通を使えない弱者・低所得者は悲痛な叫びをあげており、市はこの点から目をそむけている。福祉施設の日々のちょっとした教室や催しに行くのにこんな額は払えない!という市民の声を聞こうとしない

福祉施設行限定でのデマンド交通の割引または無料化の提案に他の利用者との公平が保てないというが、それではふれあい号自体が不公平なものであったというのか?だとしたら市長は福祉というものを理解していないことになる。デマンド交通は自宅まで来てくれる点が違うというなら今までのふれあい号の停留所から福祉センター行限定で割引等を行えばふれあい号と同じになる。それもだめだと言うなら、他になんとか弱者に手を差し伸べる知恵を出すことはできないのか?行政とは一体何のためにあるのか?

現在ふれあい号には年1900万円の経費がかかっているようで、廃止すればこの経費が浮くことになる。この年1900万円は何に使われるのだろうか?古谷議員は全額デマンド交通に回して割引をと言ったが、確かにこれが全額福祉に使われ、ふれあい号は廃止されるが、志木市の福祉が全体としてはより充実したものになるのであれば一定の理解も得られるかもしれない。そうではなくこのお金が福祉とは関係ない予算に回されるのだとしたら、これは単なる福祉の合理化、弱者の切り捨てであったということになる。市の素案やその説明会、今回の一般質問でも市側の説明や答弁に、より充実した福祉を行うための見直しの一環なのだというような言葉はただの一言もなかった事を考えると強い不安が残るばかりです

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志木2中学区合併による義務教育学校化

志木市が進める小中一貫教育政策の中で志木2中学区のみが3校合併による義務教育学校化される問題について今回の一般質問で取り上げたのは、天田いづみ議員、水谷利美議員、河野芳徳議員の3名でした

天田いづみ議員
合併した場合教室等は十分なのか、副校長などはおけるのか、教員の加配は可能なのか、市民の理解を得るために十分な努力をしてほしい等と質問。市の答弁は教室は足りる、副校長は検討する、教員の加配は申請すると答弁して終了。この質疑で教員の加配は必ずしも可能なわけではなく県に申請してケースバイケースで可否が決まるので、市のリーフレットなどにさも増員可能なように書かれているのはあてにならないこと、ましてや現在の計算では5名の教員が減るがそれが全部補えるようなものではないということがわかりました

水谷利美議員
国会審議での付帯決議に義務教育学校化などは安易に進めるべきではなく住民との合意をはかりながら進めるべきとあるのに志木市は市が一方的に進めているのはおかしい、教員、保護者、児童、市民の意向を調査するアンケートを実施すべき、市とコンサルタントとの契約では当初は意識調査が予算に入っていたのに次年度で消えたのはなぜかなどと質問。市の答弁は国会の付帯決議については答えず、義務教育学校化はすでに決定事項なので住民等の意向調査のアンケートをやるつもりはない、コンサルタントとの契約では当初は意識調査をやるつもりだったがやめた等の内容でした

河野芳徳議員
与党議員の河野さんは自分はこの合併に賛成の立場だがと前置きした上で、周知が足りていない、6年生の卒業式・7年生の入学式はどうなるのか、体操着はどうなるのか、中学校舎に行く6年生は50分授業になるのか、学校ごとの伝統行事などはどうなるのかなどを質問。市は周知については懇談会の開催やリーフレットの配布や市のHPにいろいろ掲載したりしている、その他の質問についてはそれぞれ今後検討あるいは学校において適切に判断してゆく(要は具体的なことはまだほとんど何も決まっていない)などと答弁

傍聴しての感想
それにしてもなぜここまで頑なに市民アンケートを拒むのか?やれば多数の反対意見が出てくることがわかっているからであろう。しかし子どもたちの保護者の意見すら聞こうとしないというのは明らかに間違っており、この点において市のやり方に道理はないと思う

河野さんは質疑の中で最近は合併に反対する人のチラシがポスティングされたり反対の集会が開かれたりしている、だから対抗してもっと周知をはかるべきと言っていたが、このことは与党議員の目から見ても合併に対する市民の反対の声がもはや無視できないところまで高まってきていることを実感しているということを示している。やはり市民が声を上げることは決して無駄なことではない。約半年後には市議選も迫ってきているので各市議への働きかけを強めて行けば状況を改善できるかもしれない

水谷さんが質疑の中で8月22日の柳瀬川図書館での「小中一貫教育・義務教育学校に関する懇談会」に志木市の小学校の元教員の方が参加を望んだが現在は市外在住ということで参加させなかったことについて、長い間志木市の教育に携わってきて志木市の教育をよく知っている方なのになぜ参加を認めないのかと教育政策部長に問うた時、香川市長が横から「大昔だ!大昔だ!」と傍聴席にまではっきり聞こえる声で野次ったのが印象的だった。多分その方が志木にいたのは大昔だから今更意見など聞く必要はないと言いたかったのだろうが、ずいぶんと冷たいことを言う人だと感じると同時にこんな野次を飛ばすのは痛いところを突かれていらついている裏返しなのだろうなと感じた

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古谷議員へのエール

別項『古谷孝さんはN国党の内紛で志木市議会議員になったらしい』に書いた通り、古谷さんは志木市には関係ないNHK党の内紛(立花氏と元NHK党の多田光宏議員との争い)から多田議員への刺客として派遣されてきた人。このことから私は当初は古谷議員に対しては与儀さんや多田さんと並ぶ無投票当選のトンデモ議員の一人としてネガティブな印象を持っていました

また2021年8月に傍聴に行ったときにはNHKの集金云々などNHK党からのテンプレそのままかのような質問やコロナ禍の東京オリンピックへの生徒動員賛成のような発言もしていてますますネガティブな印象を強めていきました。ただこのときには市長選挙の不在者投票で視覚障がい者の方への誤った対応が行われた問題も指摘しており、この点については視覚障がい者を代弁する有益な発言もしているとも感じていました

今年になって6月と今回9月の一般質問を傍聴してみて両方とも古谷さんの質問を聞きに来たと思われる傍聴者の方がおり、古谷さんが障がい者の代弁者として期待されている様子を感じました。また今回のふれあい号の件では事前にいろいろ研究した上で熱心に質問しており話の筋も通っていて交通弱者の代弁者として奮闘している姿に敬意を持ちました

NHK党(名前がいろいろ変わるのに付き合いきれないのでNHK党と書いています)は最近のガーシー氏の一件や立花氏と大津氏のゴタゴタなどもはや国政政党として見るも無惨な状態であり、とてもじゃないがNHK党を名乗る市議を応援する気持ちにはなれませんが、古谷さん個人が自分なりに努力している姿には好感を持ちました。来年の志木市議選に古谷さんが出るのかどうかは知りませんが、もし出るならNHK党とは袂を分かって障がい者福祉を専門に据えて活動する市議となってくれたらいいのになと思います


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>今井あさと

今井あさと

埼玉県志木市在住。敷島神社の近くに住んでます。27年間ほど都内の私立高校で非常勤講師をした後にフリーランスのプログラマ。非正規一筋の人生です(笑

非常勤講師で教えていたのは公民科(政治経済・現代社会・倫理など)。今でも政治や社会に強い関心があり、志木市の政治についても詳しく見てみようと思いこのようなブログを立ち上げました

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