ふれあい号は本当にいらないのか?-その2

交通政策に関する基本方針の素案について市民説明会

別項『ふれあい号は本当にいらないのか?』で触れた志木市の『交通政策に関する基本方針の素案』についての市民説明会の3回目が8/19(土)に市役所で実施されたので前回に引き続き参加してきました

あまりにも冷たい対応
この説明会の中で総合福祉センターにある教育サポートセンターをお子さんが利用されているという方からふれあい号の廃止は困るという発言があったのですが、市は最初はデマンド交通を使えば良いという対応でしたがそのお子さんはデマンド交通の利用資格(障がい者・妊婦・高齢者など)を満たさないということがわかると、対応しようがない、自分で歩いて行けばよいではないかと言わんばかりの突き放した態度になっていました。そのお子さんの状況やふれあい号を必要とする理由を聞こうともせず杓子定規に切り捨てようとする態度には福祉という言葉はまったくあてはまらず、単なる合理化=コストカットだけを考えているとしか見えず、とてもとても冷たい姿勢だと感じました。この点についてひどすぎると指摘したところ、市は態度を変えて説明会後に個別に話を伺うということになりました

高齢者の切実な言葉
また参加していた高齢者の女性が「(ふれあい号の)廃止を廃止してください、廃止を廃止してください」と繰り返し切々と訴える場面があり、私は聞いていて胸に迫るものを感じたのですが、これに対して市はさすがに無下にはできないと考えたのか「貴重なご意見ありがとうございます、参考にさせていただきます」という趣旨のことを優しい言葉で返していたのですが、私や他の方との質疑の中ではふれあい号は利用者が少なくなりコストが無駄になっている、代替手段は有料のデマンド交通だということを繰り返すばかりだったので、この女性の言葉をまともに受け入れる気はなさそうに見えました

利用者が減っているのは福祉センターそのもの

なぜふれあい号の利用者は減っているのか?
市はふれあい号は利用者が減っているので廃止したいと言いますが、ではそもそもなぜふれあい号の利用者は減っているのでしょうか?上の表は市の長寿応援課が公表している統計情報ですが、これを見れば一目瞭然、令和2年以降のコロナ禍で福祉センターの利用者が減り、まだコロナ禍以前の状態に復帰していないためにこの2つの福祉センターを主な目的地とする福祉施設限定無料巡回バスのふれあい号の利用者数も減っているのです

令和2年(2020年)4月には初の緊急事態宣言が出され、上表の福祉センターも臨時閉館日が増えたこともあり利用人数は前年の52799人→5697人(福祉センター)、43083人→10933人(第二福祉センター)と激減しています。その後は利用者は増加し始めますが、まだコロナ禍前に比べると大きく減っています。市は説明会で福祉センターの利用者数には一切触れず、単にふれあい号の利用人数が減っていると繰り返すばかりで、さもふれあい号が無用の長物になっているかのように印象操作していますが、福祉センターの利用者が元に戻ればふれあい号の利用者数も増加することは明らかでしょう

福祉センターの今後は?
今年になってコロナが5類に分類され若い世代の外出は急増しているようですが、高齢になるほどコロナの重篤化のリスクが高いのでできるだけ外出は控えるべきと繰り返し言われてきた高齢者たちはまだそんなに気軽には外出できず、これから慎重に様子を見ながら少しずつ外出する回数を増やし、福祉センターを利用しようという方も徐々に増えていくのではないでしょうか?しかしその時に以前にはあった無料のバスがなくなっていて、往復すれば600円〜2000円もかかるデマンド交通しか手段がなくなっていたらその足は大きく鈍るはずです。志木市では高齢者人口は微増傾向が続いており今後も増えてゆくと予測されているそうで、高齢者福祉の必要性はますます高まることは明らかなのに福祉センターへの交通手段を有料化してしまおう(しかもかなり高額に)としているわけでこれは大変な愚策であると思います。また福祉センターへの無料交通手段を廃止することで福祉センターの利用者減を固定化し、それを口実に将来福祉センター自体の縮小や廃止などが進められてしまうことになりはしないかという不安もあります。高齢者たちは「福祉センターに行きたいけど交通手段が高くて行けない」と悲鳴をあげ、市は「福祉センターの利用者が少ないから縮小・廃止します」などということにならないか心配です

ふれあい号は本当にいらないのか?

廃止決定は時期尚早
上に見てきたようにふれあい号の利用者減の原因は主な行き先の福祉センターの利用者がコロナで減ったことですから、今年5月の5類移行以後の今後の福祉センターとふれあい号の利用者数の状況をきちんと見ながら判断すべきです。すなわち令和6年・7年くらいまで様子をみるべきだと思います

弱者を切り捨てないで
私は今回3回の説明会すべてに出席しましたが、1回目と3回目ではふれあい号を廃止しないで欲しいという声がいくつも聞かれました。その1つ1つがとても切実な響きを持っておりこういう声を無視してはならないのではないかと強く感じました。市はふれあい号の利用者が少ないとばかり繰り返しますが、では少数なら切り捨ててしまっていいのか?それが志木市の「福祉」なのか?と問いかけたいです。説明会で市は「費用対効果」という言葉を何度も使っていましたが、福祉をコスパで論じることには強い抵抗を感じます。もちろん市の予算は限られているわけですから市としても苦しい選択なのかもしれませんが、説明会で聞いた切実な声を思い出すとなんとかならないものなのか?という思いが残ります。市が代替手段とするデマンド交通は自宅送迎が可能な便利さがあり、通院などに利用する方には評判もいいようですが、日常的に福祉センターに通う手段としては料金が大きな壁になる方も多数いるのではないかと思います

市議会に期待…できるだろうか?
こういう地元密着の切実な問題こそ市議会で熱く議論していただきたいものですが、現在の無投票全員当選議会にそれが期待できるでしょうか?ただ今回の説明会には市議の顔も見られました。私が気づいた範囲ですが3回目の説明会には天田いづみ議員、阿部竜一議員、水谷利美議員が来ていたと思います。ぜひ次の議会の一般質問等で取り上げていただきたいものです

市は市民の意見を募集中
現在、市はこの問題に対する市民の意見を募集中です(2023年8月末まで)

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>今井あさと

今井あさと

埼玉県志木市在住。敷島神社の近くに住んでます。27年間ほど都内の私立高校で非常勤講師をした後にフリーランスのプログラマ。非正規一筋の人生です(笑

非常勤講師で教えていたのは公民科(政治経済・現代社会・倫理など)。今でも政治や社会に強い関心があり、志木市の政治についても詳しく見てみようと思いこのようなブログを立ち上げました

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