2026年10月、埼玉県議会令和8年9月定例会で自民党埼玉県議団長の田村琢実県議が「ばか」と発言。懲罰をめぐって異例の徹夜議会となる事件が発生しました
事件の概略
事件の概略は以下になります
- 10月14日
埼玉県議会・地方創生・行財政改革特別委員会において、自民党県議団長の田村琢実県議(55)が、無所属県民会議の井上航県議(47)の質疑中に「そんなわけないだろ。ばか」「できるか。ばか」などと野次る発言 - 10月15日
井上氏が田村氏の処分を議長に要請 - 10月16日
- 田村氏は議会運営委員会で発言を撤回し、「極めて不適切な発言でありました」と謝罪
- しかし井上氏は納得せず、地方自治法132条(無礼の禁止)違反として地方自治法133条に基づき懲罰議決を含む厳正な処分を要求
- これに対し自民党県議団が井上氏が委員会の「退席時に椅子を机に当て、大きな音を立てた」行動を発言者への「威嚇行為」として懲罰動議を提出。他会派などからは威嚇行為とする客観的証拠への疑問が出た
- 2つの懲罰をめぐって審議が深夜まで続いたが決着せず、会期を1日延長
- 10月17日
- 断続的に朝まで審議が続き、最終的に双方の懲罰が賛成多数で可決(埼玉県議会「令和8年9月定例会 懲罰」)し田村・井上両氏が本会議場で陳謝。午前6時前に閉会という異例の翌朝閉会となった
- 田村氏への懲罰は自民・公明・県民・共産などの多くの会派が賛成したのに対し、井上氏の懲罰への賛成は自民と無所属の小谷野五雄県議のみだった
事件の反響
この事件の反響は大きく、NHKは10月16日午後の「首都圏ニュース845」に続き、10月17日午後には全国放送の「NHKニュース7」でも報道。新聞各紙でも報じられました
2026年10月17日(土)午後・NHKニュース7


報道へのリンク
- 埼玉・自民県議団長が「ばか」とやじ、議会運営が混乱…16日の最終日に議事終わらず翌朝6時頃まで続く(読売新聞)
- 自民県議団長の埼玉県議が別の県議に「ばか」と発言 謝罪し発言撤回(朝日新聞)
- 自民の埼玉県議「ばか」発言で朝まで審議に 双方陳謝の「痛み分け」(朝日新聞)
- 自民県議団長「ばか」発言で紛糾 埼玉県議会の日程大幅ずれ込む(毎日新聞)
- 埼玉県議会、早朝にようやく閉会 自民県議団長が「ばか」発言(毎日新聞)
- 自民県議団長「そんなわけないだろ、ばか。できるか、ばか」他会派議員に不適切発言、謝罪し撤回…埼玉県議会(東京新聞)
- 埼玉県議会が異例の翌朝閉会 自民県議団長「そんなわけないだろ、ばか」やじ巡り空転(産経新聞)
- 県議会空転で翌朝閉会 田村氏の「ばか」発言巡り(東京新聞)
- <埼玉県議会>質疑中に「ばか」…自民県議団団長が謝罪、頭を下げ「深く反省」 言われた県議「謝罪の言葉はあったが」と処分要求書を提出 対する自民12人は懲罰動議、退席時に椅子を机に当てつけたと問題視(埼玉新聞)
- 埼玉議会が異例の翌朝閉会 自民県議団長やじ巡り空転(共同通信)
私の感想
幼稚で傲慢
今回の田村氏の「ばか」という言葉、社会一般でも使われる言葉ではありますが、議会最大会派の県議団長という公人が議会という公的な場での質疑の際にそういう野次を飛ばすというのは時と場所をわきまえることを忘れた発言だったと思います。また、「そんなわけないだろ。ばか」「できるか。ばか」という言葉は単に幼稚であるだけでなく、多数派が少数派を見下す尊大さ傲慢さもあるように感じられます
泥仕合に持ち込む姑息さ
今回の田村氏への懲罰には自民党埼玉県議団も会派として賛成しています。自らの会派の団長への懲罰に賛成するということは、田村氏の発言がかばいようのないものであり、もし反対すれば事態をより悪化させることになるという政治的判断があったのだろうと思われます。しかし、そのままでは自民党側の一方的な失点となり、田村氏の政治的な傷にもなりかねない。そこで「ばか」と野次られた相手側の井上氏にも懲罰動議を出すことで「どっちもどっちの喧嘩両成敗」「くだらない泥仕合」の形にして幕引きを図ろうという姑息さを感じました。この井上氏への懲罰動議は「退席時に椅子を机に当て、大きな音を立てた」ことが威嚇行為であるというものですが、令和8年9月定例会 「議会運営委員長報告」によると採決では以下の意見があったそうです
次に、「井上航議員に対する懲罰の件」について懲罰を科すべきとすることに反対の立場から「懲罰の根拠となる客観的証拠や基準が全く示されていない。大きな音という表現の具体的な基準も不明瞭であり、録音記録を確認せず、また自民党によるヒアリングのみを根拠にすることは客観性を欠いているため反対である」等の発言がありました。
私はこの反対討論にはかなり説得力があると思います。「懲罰の根拠となる客観的証拠や基準が全く示されていない」・「大きな音」を問題にしているのにその「録音記録を確認せず」(議会の審議中には公式記録としての録音が存在)などは井上氏に対する懲罰動議の致命的な欠陥であると言え、無理矢理にでも懲罰動議を出して喧嘩両成敗に持ち込みたかったという政治的意図が透けて見えます。実際、採決で賛成したのは自民党と元自民党埼玉県連幹事長で現在無所属の小谷野県議だけであった点をみても、この懲罰動議は正当性が弱く、田村氏への懲罰と釣り合いのとれるものではなかったと言えるのではないでしょうか。しかし埼玉県議会多数派の自民党は数の力でこれを押し切ってしまいました
絶対多数派の横暴と腐敗
埼玉県議会の議会構成は、2026年10月現在、定数93・欠員9の84名中約6割の50名を自民党が占めているなど自民党の絶対多数派状態が常態化してきました。そして、こうした数の力を背景に自民党埼玉県議団の様々な問題行動が目につくようになってきています
- 2023年10月、埼玉トンデモ条例・お留守番禁止条例騒動
小学3年生以下の留守番を一律虐待とし、通報義務まで課した「埼玉県虐待禁止条例の一部を改正する条例案」を常任委員会で可決させたが「埼玉トンデモ条例」「お留守番禁止条例」などと呼ばれ全国的な批判が高まり本会議直前で撤回せざるを得なくなった - 2026年8月、自民党埼玉県連元幹事長が政治資金私的流用の背任容疑で書類送検
自民党埼玉県連元幹事長の小谷野五雄県議(70歳、日高市選出、当選8回、現在無所属)が政治資金私的流用の背任容疑で書類送検。自民党埼玉県連によると私的流用は実に5年半にわたって行われてきており総額は約2795万円。自民党埼玉県連のガバナンスの杜撰さが浮き彫りになりました。自民党埼玉県連は私的流用があったとされる5年半のうち、公開前の2025年分を除く2020年〜2024年で1.7億円以上の政党交付金=税金を交付されており、この私的流用の原資には税金も含まれていた可能性があります - 2026年9月、議会傍聴に異例の新ルールを導入
公立学校の校外学習で埼玉県議会の傍聴予定があり、議運委員長がその政治的中立性に疑義をもったら執行部(県教育局など)に助言を求めるというルール。識者によるとこのようなルールは他に聞いたことがなく、かなり異例であり、「傍聴に来ないでくれと言っているようなもの」とのこと - 2026年10月、今回の「ばか」発言と相手側への強引な懲罰動議
おごる自民は久しからず?まだまだ続く?
上記をみると「おごる自民は久しからず」などと言いたくなりますが、残念ながら現在の選挙制度では県議会は1人区・2人区が多く大政党が圧倒的に有利。そのため対立候補も出づらく私たちの志木市でも2023年と2011年は無投票でした
県議会は市議会に輪をかけて縁遠く、日々何をやっているのかわからない、誰が議員なのかもよく知らないという県民も多いかと思いますが、県民の監視の目が行き届かないところで上記のようなおかしなことが行われている状況はなんとか変えていきたいと思います
来年4月予定の統一地方選挙では埼玉県議会も改選になります。志木市では今のところ現職以外に選挙準備の動きが見られず、このままでは2回連続で無投票選挙になりかねません。この状況になんとか一石を投じることはできないか?私自身も志木市の政治に強い関心をもつ一市民として、できることを模索していきたいと考えています
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