2026年8月27日、自民党埼玉県連元幹事長の小谷野五雄県議(70歳、日高市選出、当選8回、現在無所属)が背任容疑で書類送検されました
事件の概要
- 2019年5月〜:小谷野氏が県連幹事長に就任。経費を県連に請求する形で処理されていた
- 2025年夏:県連内部から経費の使途に疑問の声。8月30日付で幹事長職を停止。
- 2025年9月12日:小谷野氏が記者会見。「キャットフードや女性用バッグなどの日用品の領収書が混入したのは事実」と一部認めたが、「意図的ではなく、事務局が適切に処理すると聞いていた」「故意に精算を求めた事実はない」と主張
- 2025年10月24〜27日:県連内部調査委員会が報告書をまとめ、約5年半(主に2020年〜2025年7月)で1357件・総額2794万8493円を私的流用と認定。前任幹事長と比べて件数・金額が異常に多く、利用店舗が地元・日高市周辺に偏っていたことなどを根拠とした
- 2025年11月:県連が最も重い除名処分
- 2025年12月24日:県連が背任容疑で県警浦和署に刑事告訴(受理)。告訴対象は2022年1月以降の一部(77件・約300〜320万円程度)
- 2026年1月:県連がさいたま地裁に損害賠償訴訟を提起(主張額は私的流用+弁護士費用相当で約3062万円)
- 2026年8月27日:埼玉県警が小谷野氏を背任容疑で書類送検。警察は認否や処分意見を明らかにしていない
事件の報道へのリンク
- 異常…大量のパン、チャイルドシートなど購入 議員の“私的流用”を認定、驚きの買い物の数々 さらに経理に関わらないよう事務局長に指示 領収証は明細部分を切り取り「常軌を逸している」(埼玉新聞)
- 自民埼玉県連の元幹部を書類送検 党費流用で背任疑い、バッグやウイスキーなど不正に精算(産経新聞)
- 自民県連元幹事長の県議を書類送検 経費流用で背任の疑い(朝日新聞)
- 自民党埼玉県連の政治資金でイチローズモルト466本、女性用バッグ6点… 小谷野五雄氏の私的流用を認定(東京新聞)
- 私的経費100万円以上を自民埼玉県連に支出させた疑い、前幹事長の県議を書類送検…自身の飲食・親類への贈答品(読売新聞)
私的流用とされる支出の中身
自民党埼玉県連によると私的流用されたとされる約2795万円には以下のようなものが含まれていると報じられています
- 日高市の食品加工会社で肉製品など約126万円
- キムチ製造販売会社で約203万円
- ウイスキー466本、約213万円
- 食パン90本、桃12ケース
- チャイルドシートなどのベビー用品、幼児向けおもちゃ「お魚釣りゲーム」
- 女性用バッグ、キャットフード、健康食品、日用品
- 私的とみられる飲食代
- 参加者から会費を集めながら、飲食代全額を県連にも請求した「二重取り」
- ドラッグストアの領収書では、購入品目が記された明細部分を切り取ったものが81件
これが事実なら県連幹事長の権力を使ってやりたい放題の乱脈ぶりという印象がありますが、中には個人で消費したとは考えにくい量の物品もあり、その行き先が気になります。もしこれが選挙区内で支持者などに配られていたとしたら公職選挙法違反の疑いも浮上します
自民党埼玉県連は私的流用があったという点については調査・公表していますが、その私的流用で購入された物品、約203万円分のキムチや466本ものウイスキーなどの行き先についても調査・公表する政治的責任があるのではないでしょうか?自民党埼玉県連には小谷野氏の選挙区の自民党員も多数所属していると思われますが聞き取り調査等は行っていないのでしょうか?
私的流用の原資には税金(政党交付金)も含まれる
自民党埼玉県連は党費や企業団体献金以外に政党交付金もその収入源としています。政党交付金とは国民から税として徴収される政党助成金の分配金です。これらの収入源が1つにプールされて県連の政治資金として使われていますので、今回の私的流用が事実ならその約2795万円には国民の税金も含まれていたということになります
自民党埼玉県連の政党交付金収入
私的流用があったとされる期間中、総務省の「政党交付金使途等報告書」に記載された、自由民主党埼玉県支部連合会の「政党交付金(支部政党交付金)の総額」は以下のようになっています
- 2020年:約1277万円
- 2021年:約4133万円
- 2022年:約3860万円
- 2023年:約3060万円
- 2024年:約4968万円
- 2025年:公開前

5年半も放置されてきた杜撰な政治資金管理
自民党埼玉県連の調査報告によると、小谷野氏による約2795万円もの私的流用は2020年〜2025年7月の5年半にわたって行われていたということで、その期間の長さに驚きました。自民党埼玉県連ではたくさんの税金も含む政治資金の管理があまりにも杜撰であった。幹事長の一存で操作可能で、それをチェックする仕組みもないに等しく、資金管理面のガバナンス(健全な組織管理・内部統制)があまりにも乏しい状態であったといわれてもしょうがないのではないでしょうか?
最後に
金権体質は福岡県の自民党だけではない
最近、福岡県議会の議長選出をめぐり、以前から自民党内部で多額の金銭授受行われてきたという疑惑が表面化し、福岡県議会のドンと言われた自民党重鎮が議員辞職に追い込まれるという不祥事が大きな社会問題となりました。今回の私的流用疑惑をみると、こうした旧態依然とした自民党の金権体質が残っているのは福岡県の自民党だけではなく埼玉県の自民党にもあてはまるのではないかと感じます
県連幹部の力
現在の都道府県議会議員選挙は1人区が多く、自民党が強い1人区では、自民党公認を得られるかどうかが当選可能性を大きく左右します。また複数選挙区でも自民党公認の有無は無視できません。このことが、公認候補の選定に関与する県連幹部の力を強大化する一因になっていると言われており、前回2023年の埼玉県議選(定数93)でも全51選挙区中49%の25選挙区が1人区でした
今回の自民党埼玉県連における私的流用疑惑でも長期にわたって幹事長の暴走を許した背景には、公認・推薦など議員の生殺与奪を左右できる幹事長には議員といえども逆らいにくい空気が県連内部にあったのではないでしょうか?また議員たちも逆らえない幹事長に対しては事務局の職員もなおのことであり、その結果ガバナンスを麻痺させていったのかもしれません
無投票選挙
また現在の都道府県議会選挙では無投票選挙も異常なほど多くなっています。前回2023年の統一地方選挙における41道府県議選においては定数合計2260のうち、実に25.0%の565人が無投票当選となっていました(志木市も無投票でした)。無投票選挙になった選挙区は2人区などもありますが多くは1人区で大政党の公認候補がいれば対立候補が出にくい構造となり、この点でも県連幹部の力は強まっていきます。そして選挙という洗礼を受けずに当選した議員たちの最大の関心事は次の選挙も公認を得られるかということになり、選挙民の声よりも県連幹部の顔色をうかがうようになっていくのではないでしょうか?
- 無投票、際立つ1人区…統一選前半戦(読売新聞)
- 4分の1が無投票当選、1人区で目立つ自民候補 41道府県議選告示(朝日新聞)
都道府県議会議員選挙制度の改革を
このような全国的に1/4が無投票になるような選挙制度は議会制民主主義の選挙制度として適切であると言えるのか?以下のような改革を検討すべきだと思います
- 1人区や2人区をやめて近隣との合区を行い定数が4人以上になる大選挙区にする
- 都道府県単位で比例代表制にする
- 定数以下の立候補でも無投票当選とせず信任投票を行う
- 立候補の障壁を減らす(被選挙権年齢25歳の引き下げ、都道府県議選の供託金60万円の引き下げなど)
来年は統一地方選挙
来年2027年は統一地方選挙の年、埼玉県議会議員選挙も行われます。志木市では前回は残念ながら無投票選挙に終わりました。今回はどうなるかまだわかりませんが、今のところ現職がポスターを貼っている他は動きがみられません。2回連続無投票選挙になってしまっていいのか?個人的には最近いろいろ思いを巡らしています