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自民党埼玉県議団が議会傍聴に異例の新ルールを導入

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自民党埼玉県議団が議会傍聴に異例の新ルールを導入

2026年9月25日、埼玉県議会の議会運営委員会(議運)は自民党の藤井健志議運委員長から出された校外学習で児童・生徒が議会を傍聴する際の新ルールを了承しました。議会事務局に問い合わせた結果、その内容は以下のようなものでした

埼玉県議会の議会運営委員会が定めた新ルール

・ 議員又は会派は、法律の定める学校等の児童・生徒が校外学習の一環として会議を傍聴することを事前に覚知した場合、速やかに議会運営委員長に報告する。
・ 議会運営委員長は、傍聴の目的、特に質問項目等について確認し、政治的中立性に疑義がある場合、執行部に当該校外学習が政治的中立性を損なうものでないか、助言を求める。
・ 議会運営委員長は、当該傍聴が行われること及び政治的中立性について確認を行った場合はその内容を議会運営委員会に報告する。

議員は校外学習での傍聴予定を知ったら議運委員長に報告。議運委員長がその政治的中立性に疑義をもったら執行部(県教育局など)に助言を求めるという内容です。一体なぜこのような新ルールが作られたのでしょうか?

関連新聞報道

  1. 埼玉県議会が「校外学習」受け入れに新ルール 傍聴目的を把握し「政治的に中立か確認」(東京新聞)
  2. 校外学習で議会傍聴、質問と利害関係あるなら事前に確認 埼玉県議会(朝日新聞)
  3. ろう学園生徒が埼玉県議会傍聴「手話通訳とモニター用意でスムーズ」(朝日新聞)

本件に関連する新聞報道としては上記の3つが確認できました。なぜ、このような新ルールが導入されたのか、上記の新ルールの内容と新聞報道を総合すると以下になるようです

発端は埼玉県立特別支援学校坂戸ろう学園高等部による議会傍聴
3の新聞記事によると2026年6月22日に埼玉県立特別支援学校坂戸ろう学園高等部が校外学習の一環として埼玉県議会の一般質問を傍聴。生徒たちにはかなり好評であったと3の記事は伝えています。自民党はなぜこれを問題視したのか?1の新聞記事によるとこの時の一般質問で『同校体育館へのエアコン設置について質問があり、議員が「(学校の)皆さんも傍聴に来ているので、前向きな答弁を期待する」などと発言していた』。これを自民党が問題視し、その後の議運で「辺野古沖の事故でも指摘されたように、教育の政治的中立性を確保することがいっそう求められている」などの意見が出され、今回の新ルール導入の流れになったようです
なお議会事務局への問い合わせで確認しましたが、これまで県立学校の校外学習で埼玉県議会を傍聴した例は他になかったそうです

かなり異例なルール

教育基本法
自民党は教育基本法第14条の政治的中立を本件の根拠にしていますが、その条文は以下のとおりです

教育基本法第14条

  1. 良識ある公民として必要な政治的教養は、教育上尊重されなければならない。
  2. 法律に定める学校は、特定の政党を支持し、又はこれに反対するための政治教育その他政治的活動をしてはならない。

この条文を読めば、生徒たちの「政治的教養は、教育上尊重されなければない」(14条1項)が、学校は「特定の政党を支持し、又はこれに反対するための政治教育その他政治的活動をしてはならない」(14条2項・政治的中立)と定められていることがわかります。議会傍聴の校外学習は14条1項を促進するものでこそあれ、14条2項に抵触するとは思えません。議会を傍聴することのどこが「特定の政党を支持し、又はこれに反対するための政治教育」になるのでしょうか?特定の議員の質問を傍聴したとしても執行部は答弁で反論することができるわけで、生徒たちは賛否両論を聞くことになります。そしてそれを参考に自分なりの意見を考えてみることはまさに政治的教養を高めることであり教育上尊重されるべきものであると思います

政治的中立性を誰が決めるのか?
またこのルールでは校外学習による議会傍聴の政治的中立性を問いますが、そもそもなにをもって政治的中立というのか?1の新聞記事によると藤井議運委員長は「明確な線引きがこうだというものはないが、しっかり確認が必要なものは確認する」と述べたそうで、これでは議運委員長の胸一つでいかようにも判断されてしまうのではないでしょうか?

校外学習での議会傍聴を萎縮させる
そして議運委員長が(主観的に)「政治的中立性」に「疑義」があると判断したら県教育局などに助言を求める。議会側が傍聴不許可などとするのではなく、最終的には県側・学校側の判断に委ねるとしていますが、これは議会側が傍聴不許可とすれば国民の知る権利の侵害との批判を招きかねないので、暗に学校側に判断を委ねる形をとることで自粛を迫るというものではないでしょうか?つまり誰も不許可にはしないが学校側の自粛という形で結果的に傍聴がなくなる。圧力による事実上の傍聴規制という非常に陰湿な「ルール」であると思います。このようなルールは今後の校外学習での議会傍聴を学校側の計画段階で萎縮させるものにほかなりません

最良の主権者教育の機会を奪う
1の新聞記事によると「ルールでは、校外学習で児童・生徒が議会を傍聴する際、議運委員長が事前に傍聴の目的や、その日の議会で同校に関連する質問があるかどうかを確認する」とありますが、議会で自分たちの学校に関連する質問がある時に傍聴に行くことの何が問題なのでしょうか?県議会の審議は県政全般にわたり、生徒たちにとってにわかにはわかりにくい話題も多々あり、せっかく行ってはみたものの何を話しているのかよくわからなかったということにもなりかねません。そうではなく自分たちの学校に関する話題であれば理解しやすく、県政と自分たちの暮らしがどのように結びつくのかリアルに理解できる、最良の主権者教育の機会であると言っても過言ではありません。なぜこういう機会を奪おうとするのか?当事者に傍聴されると何か困ることでもあるのでしょうか?

かなり異例なルール
私はこのルールを読んでみて、議会制民主主義に反するとんでもないものであると思いました。1の新聞記事でも以下のような懸念が述べられていたので引用します

法政大の白鳥浩教授(現代政治分析)は「(校外学習の傍聴ルール策定は)聞いたことがなく、かなり異例ではないか。(特定のテーマについて)賛成だろうが反対だろうが、議論を聞くことができるのが住民の権利。ルールは傍聴に来ないでくれと言っているようなもので、ますます政治が遠いところに行ってしまう」と懸念した。

奇妙なねじれ
そもそも本件で自民党が問題視したのは他会派の議員が質問の中で傍聴席の生徒たちを引き合いに出したことのようですが、それならその議員の質問手法を批判すればいいのに、なぜか校外学習での傍聴の方を問題視しています。このルールの本質はまさに上記白鳥教授が指摘する「傍聴に来ないでくれと言っているようなもの」ということなのかもしれません

最後に

現在の埼玉県議会の議会運営委員会の定数は17。議会事務局への問い合わせで確認しましたが、本件の審議で反対したのは共産党の委員だけで、他の16名は了承したそうです。内10名は提案側の自民党ですが、自民党以外の6名も賛成したそうです。埼玉県議会の議会構成は2026年10月現在、定数93・欠員9の84名中約6割の50名を自民党埼玉県議団が占めています。この圧倒的な政治力を背景に今回のような異例なルールまでもが作られており、共産党以外の他会派もそれに追随しているように見えます
2023年には自民党埼玉県議団が子どもだけの留守番・外出をなんでも虐待扱いしたうえ県民に通報義務を課すというとんでもない内容の「埼玉県虐待禁止条例」改正案を提出し、全国的な批判の前に本会議での採決直前で撤回するという出来事もありましたが、あの時も常任委員会では自民党以外に公明党の戸野部直乃議員が賛成していました
来年4月は統一地方選挙で埼玉県議会も改選になります。埼玉県議選は1人区も多く現職有利な選挙ではありますが、今の議会構成のままではまたこうした条例やルールが作られかねないと思います
志木市では前回埼玉県議選は無投票。次回は無投票選挙だけはなんとか避けたいものです

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この記事を書いた人

埼玉県志木市在住。敷島神社の近くに住んでます。27年間ほど都内の私立高校で非常勤講師をした後にフリーランスのプログラマ。非正規一筋の人生です(笑。非常勤講師で教えていたのは公民科(政治経済・現代社会・倫理など)。政治や社会に強い関心があり、志木市の政治についても詳しく見てみようと思い、2021年からこのようなブログを続けています。一市民の目線で志木市政をみつめていくうちに今の志木市政や市議会にいろいろな疑問をもつようになり、その疑問をぶつけたいと2024年(令和6年)には志木市議会議員選挙に立候補しましたが落選。政党や組織に属さない本当の無所属・一市民としての壁の厚さを痛感しましたが、くじけずにこれからもコツコツと志木市政について発信を続けていきたいと思っています

今井あさと
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