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電子投票による移動期日前投票所で投票率向上を

目次

投票率向上のための志木市の行政努力は十分だろうか?

日本では各種選挙での低投票率が大きな問題となっており志木市も例外ではありません。ここ数年の各種選挙での志木市の投票率をまとめると以下になります

  • 埼玉県知事選挙(R5/8/6):25.33%(県平均23.76%)
  • 志木市議会議員選挙(R6/4/14):40.75%
  • 志木市長選挙(R7/6/15):32.85%
  • 参議院議員選挙(R7/7/20):56.66%(全国平均58.51%)
  • 衆議院議員選挙(R8/2/8):55.95%(全国平均56.26%)

選挙の低投票率には様々な要因があると思いますが、私は志木市では投票所配置の不均衡が1つの大きな要因であるとこのブログで分析してきました。例えば直近のR8衆院選では志木市内全12投票所において宗岡の4投票所のみが全国平均を下回り、他の8投票所はいずれも全国平均以上(内4投票所は投票率60%以上)であったこと、そしてこの落差の原因は宗岡の投票所の少なさにあることを指摘してきました。このことから私は宗岡公民館に期日前投票所を設置するべきだと考え、志木市選挙管理委員会にメールも送りましたが残念ながら返事はいただけませんでした

私は現在でも宗岡公民館に期日前投票所を設置するべきであると考えていますが、同時に投票率をあげるためのもう一つの方策があると考えます。それは電子投票による移動期日前投票所の設置(後述)です

電子投票とは

電子投票とは、これまでの投票用紙に自署する紙の投票をタブレットによる投票に切り替えるもので、基本的なイメージは今までどおり投票所に行きますが、投票用紙と投票箱がなくなり、これまで投票用紙への記入台があったところにタブレットがおいてあり、希望する候補者名をタップして投票するかたちになります

インターネット投票とは違う
電子投票はインターネット投票(スマホやパソコンを使ったインターネット経由での投票)とは異なります。インターネット投票は時間や場所を選ばず投票できる点で利便性が高く、導入すれば投票率が大きく向上するのではないかと期待できますが、セキュリティ・信頼性・サイバー攻撃・買収や脅しによる不正などへの懸念があり、現在の世界ではエストニアが全面導入している以外はいくつかの国で在外投票や地方選挙への部分的導入まで、日本では在外投票への導入が検討段階(未実施)です

電子投票のメリット
紙からタブレットの投票にかわるとどんなメリットがあるのでしょうか?

  • 無効票・疑問票ゼロ
    現在の投票用紙への自署形式では様々な無効票や疑問票が発生します。氏名以外に「〜さん」は有効だが、「〜さん」は無効、「〜にいれます」や「〜♥」なども無効など、何気なく書いた一文字や応援の気持ちで書いたものが無効になることも。一方、選管の判断次第では氏名以外でも通称が有効とされる場合もあり「ヒゲ」が有効になったことも。最近では2025年11月の茨城県神栖(かみす)市長選挙で上位2名が同得票数でくじ引きとなったが、当選者(実家が和菓子製造業)の有効票中に「だんごさん」と「まんじゅうや」があったことを不服として落選者が提訴、市選管はこれを有効と判断していたが県選管は無効と判断、現在は東京高裁で係争中という事件もありました(朝日新聞
    タブレットで表示される選択肢から希望する候補者名をタップする形式の投票ではこうした問題は発生せず無効票や疑問票がゼロになります
    なお紙の投票では白票という意思表示も可能ですが、これについてはタブレットには「白票」という選択肢はないが、「投票せず終了」という選択肢があるようです。つまり無効票である白票の投票自体はできないが、投票所には来たが誰にも投票しなかった数は棄権の意思表示として集計されその数が公表されるようです
  • 自署困難者へのバリアフリー化
    ケガ・病気・障がい・高齢などで自署が困難な場合、現在は投票所での係員による代理投票に頼ることになりますが、この場合は投票の秘密が十分に守られないという問題があり、タップだけで投票できる電子投票はこの問題の軽減(全面解決とまでは言えないですが)に寄与できます。全盲の方にもヘッドセットを使った選択肢の音声読み上げと専用キーパッドなどを用意することで代理投票を不要にすることなどが検討されているようです。自署困難者の中には代理投票が嫌で投票に行かないという声もあるそうなのでこのバリアフリー化は重要です
  • 開票作業の劇的な効率化
    電子投票システムではタブレットごとに投票結果をUSBメモリ等に保存しそれを集計します。紙の投票の場合は投票用紙計数機や読取機などは使うものの人間による確認作業など多大な人的作業が必要で、疑問票は有効性を一枚一枚判定するなどが必要ですが、それと比べて劇的な効率化と正確性をもたらします
  • 移動期日前投票所が作りやすくなります(後述)

電子投票のデメリット

  • ブラックボックス化・バグ・不正・サイバー攻撃
    紙の投票と違い一般人から見て内部の仕組みがわからない(ブラックボックス化)、バグや不正コードが仕込まれる可能性、サイバー攻撃の可能性などから信頼性への疑問や不安がつきまといます
  • タブレットや記憶媒体(USBメモリ等)の故障などでのデータ消失の可能性
  • 再集計・監査
    データ消失や改ざんの疑いが生じ再集計や監査を行おうとしても紙の投票のような原本が存在しないため難しい

電子投票のコスト

  • 開票作業の人件費は大幅に削減可能
  • 投票所の人件費も削減可能だが、導入当初は投票所での案内や事前周知などのコストが必要
  • システム(タブレット・ソフトウェア・集計システム等)は外部企業依存になるのでそのリース費用等がかかる

日本での導入事例

日本では2002年に地方選挙における電子投票が可能になり、一度はその気運が高まったものの、岐阜県可児(かに)市における大規模システム障害(いわゆる可児ショック)によってその気運が急速に冷え込んでしまった黒歴史がありました

  • 2002年2月:電磁記録投票法が施行され地方公共団体の議会議員と長の選挙で電子投票が可能に(国政選挙は対象外)
  • 2002年6月:岡山県新見市で電子投票を実施(全国初)、以後2016年までに10市町村・28回の選挙に広がる
  • 2003年7月:岐阜県可児市の電子投票で機器トラブルにより大規模な投票遅延と投票数と開票数不一致が発生(可児ショック)。以後急速に電子投票導入の気運は冷え込み、2016年から2024年までの8年間は空白期間となった
  • 2024年6月:総務省が『電子投票システムの技術的条件等』を改訂、専用機でなく市販タブレットの活用などの要件緩和
  • 2024年12月:大阪府四條畷(しじょうなわて)市長選挙・市議会補欠選挙で電子投票実施
  • 2026年3月:宮崎県新富町議会議員補欠選挙で電子投票実施
  • 2026年8月:福岡県粕屋町長選挙で電子投票実施予定(粕屋町HP

可児ショック
可児ショック当時のシステムは全29投票所ごとの記録用サーバと投票用クライアント端末という構成(サーバ・クライアント方式)。サーバの設計の問題から記録用MOドライブの過熱による動作異常が発生。インターネットなどには接続しない投票所ごとに閉じられた相互干渉のない閉鎖ネットワークでしたが、同一設計のため同様のシステム障害が最終的に全投票所で発生。復旧を待てず投票をあきらめて帰る人や投票の未保存・二重記録などの問題が発生。最終的に最高裁による選挙無効判決(2005年)と選挙やり直しという最悪の結末となりました

現在のシステム
可児ショックをうけて総務省が何度か基準を改訂するなどした結果、現在では以下のように各タブレットが独立して動作するしくみ(スタンドアロン方式)になっています

  • 各タブレットはサーバその他への外部接続をしないためサーバトラブルなどが発生しない。ネット経由でのサイバー攻撃などとも無縁
  • 各タブレットは独立しているので仮に1台に障害が発生してもバックアップと即座に交換してリカバリが可能。他のタブレットは一切影響をうけない
  • タブレットに記録されるのは各候補者の得票数のみ。「誰が誰に入れたか」等の情報は記録されない
  • データはUSBメモリとSDカードなどに二重保存
  • 専用機ではなく市販タブレット利用が認められたことでコスト削減が可能に
  • 2024年と2026年に実施された2つの電子投票は無事成功。再び電子投票導入の気運が高まりはじめている

参考リンク

移動期日前投票所

電子投票なら移動期日前投票所がつくりやすい
私が電子投票に期待する大きなメリットの一つは移動期日前投票所の設置が容易になることです。投票所を設置する場合、紙の投票と電子投票では投票用紙とタブレット以外に必要な設備等が以下のようにかわります

  1. 投票者確認のためのパソコン(有権者名簿の確認・すでに投票していないかの確認)→そのまま
  2. 投票用紙交付機(二重交付防止や交付数管理のための専用機)または交付係→不要
  3. 記入台→タブレットの台に変更
  4. 投票箱→不要

電子投票の移動期日前投票所のイメージ画像
下の写真はGeminiで生成した電子投票の移動期日前投票所のイメージ画像ですがいかがでしょうか?


2と4のスペースが不要になり、ワゴン車や大きめのワンボックスカーの後部を利用して容易に移動期日前投票所がつくれます。現在、紙の投票の移動期日前投票所が主に地方で導入されています(下記事例集参照)が、1〜4のすべてを必要とするスペースの都合上バスを使う例も多いようです。また紙の投票の場合、屋外型だと投票用紙が風で飛ばされる心配などもあり、車内で投票する車内乗り込み型も多いようですがその必要もありません
このように電子投票では省スペースになる分、より小型で機動性のある移動期日前投票所が可能になり、狭い場所にも設置しやすくなり、市内の様々な場所に移動して回れるのが大きなメリットだと思います

移動スーパーの停車場所や商業施設の駐車場が使える
現在、志木市では移動スーパーが稼働しており、市内30ヵ所以上を軽トラックで巡回しています。上の画像のような移動投票所ならこの移動スーパーの停車場所を利用することが可能です。また市内にはそれ以外にも駐車場がある商業施設等が多数ありますので選挙という公的イベントなら協力を求めやすく、市内にきめこまかく移動期日前投票所を設置できます

コストもそれほどはかからない?
イメージ画像のような移動期日前投票所であればコストはどの程度でしょうか?

  • 車両は一般的なワゴン車または大きめのワンボックスカー。市所有車両があれば無料またはレンタカー。ガソリン代
  • 車両内部の改装等は不要で後部にテーブル等を置くだけですむので設備費用はほとんどかからない
  • 駐車スペースは商業施設の協力を得られれば無料ですむ可能性あり
  • 1台あたり運転担当を含む4〜5名程度?の人件費。市職員が業務で担当する分は追加費用にはならず、不足人員分を臨時雇用などした分が追加費用となる
  • 電子投票システムのリース費用

実際の導入はこれから
屋内に固定される期日前投票所ではすでに電子投票を導入した例もありますが、車両による移動期日前投票所での電子投票はまだ事例はないようで、電子投票自体の増加に伴いこれから徐々に導入されていくものと思われます

十分な投票所の設置は参政権の保障の問題

移動期日前投票所は、主として山間部やその周辺・離島などの過疎地域で、当日投票所の統廃合や交通手段の不足によって投票しにくくなった住民の投票機会を補完するために導入されてきました。しかし志木市のような都市化の進んだ街においてもその必要性は高まってきているのではないでしょうか?別項『宗岡公民館に期日前投票所をつくろう!』にも書きましたが、私が宗岡公民館に期日前投票所を作ろうという志木市政への意見広告第5弾を全戸配布したところ、90歳の高齢者の方からお電話をいただきました。その方は志木市本町3丁目にお住まいだが、投票所である本町1丁目の志木小学校まで行くのがつらいというお話でした。地図で確認してみましたが確かに90歳の方が徒歩で往復するのはかなりきついのではないかと思いました。志木市でも高齢化は進んでおり、同じような思いの方は市内に少なくないのではないでしょうか。また高齢者に限らず子育て・仕事・病気・障がいなどから家の近くで投票できる機会を求める市民も少なくないと思います。選挙権は基本的人権の一つである参政権の根幹であり、移動期日前投票所はそういう方々の参政権を保障するものであると思います
現在の志木市の固定期日前投票所は3ヵ所(別項『宗岡公民館に期日前投票所をつくろう!』参照)。宗岡公民館には固定期日前投票所を設置すべきですが、さらに移動期日前投票所を設置し市内にきめ細かく投票の機会を広げていくことで志木市の投票率はもっと上げていけるのではないかと思います
電子投票は現在は地方選挙のみで国政選挙は認められていませんが、地方での実績を積み重ねてやがては国政選挙にも認められるようになるのではないかと思います。そういう流れの中、志木市においてはいち早く電子投票を導入するとともに電子投票による移動期日前投票所を導入するべきだと思います。志木市では各種施策において「誰一人取り残さない」という言葉がしばしば使われています。参政権の保障においてもこの「誰一人取り残さない」という姿勢を貫いていくべきだと思います

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この記事を書いた人

埼玉県志木市在住。敷島神社の近くに住んでます。27年間ほど都内の私立高校で非常勤講師をした後にフリーランスのプログラマ。非正規一筋の人生です(笑。非常勤講師で教えていたのは公民科(政治経済・現代社会・倫理など)。政治や社会に強い関心があり、志木市の政治についても詳しく見てみようと思い、2021年からこのようなブログを続けています。一市民の目線で志木市政をみつめていくうちに今の志木市政や市議会にいろいろな疑問をもつようになり、その疑問をぶつけたいと2024年(令和6年)には志木市議会議員選挙に立候補しましたが落選。政党や組織に属さない本当の無所属・一市民としての壁の厚さを痛感しましたが、くじけずにこれからもコツコツと志木市政について発信を続けていきたいと思っています

今井あさと
〒353-0004
埼玉県志木市本町2−9−48
080-3099-2862

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