どうなる?新複合施設

建設工事応募ゼロで着工延期

令和6年3月16日の志木市議会3月定例会最終日の閉会時の市長あいさつで驚くべき発表がありました。志木市民会館と志木市民体育館の新複合施設建設の入札を募集したところ、1社からの応募があったものの第一次審査通過後に辞退され応募者ゼロになってしまったため、本年7月着工予定だったスケジュールを見直さざるを得なくなったというものでした。すでに建設予定地の旧パルシティの解体工事が進んでいますが、この新複合施設建設、一体何がおきているのでしょうか?

いつのまにか膨れ上がっていた建設予算

新複合施設について令和3年8月に制定された『志木市民会館及び志木市民体育館再整備基本計画』(13頁)ではその施設整備費用(設計・工事その他)は概算で64.1億円となっていました。ところがこれが最新の『令和6年度志木市予算及び事業概要説明 』(14頁)では116.8億円、なんと1.8倍以上に膨れ上がっています。市はこの資料をHPで公開した以外は市民に広く告知することなどはしませんでしたので、ほとんどの市民がこれを知らないままに議会にかけられ通過しています。この費用については国の公共施設等適正管理推進事業債という制度を利用することで45%は国が負担するため非常に有利だと市は言います(ただし複合化後の延床面積の縮小が条件)が、残りの55%は今後市民が負担していくことになるわけで、その負担額は当初は約35.3億円だったものが約64.2億円になります。別項『志木市政 ガラス張りです 庁舎だけ』にも書きましたが、こういう事は議会を通す前にきちんと市民に広く告知して、その意見を聞いてから決定するべきではないでしょうか?

一者応札

今回の入札では1次審査の段階で1社しか来ていない一者応札とよばれる状態でした(「者」と書くのは個人でも入札に参加できる場合があるため)。公的機関が行う入札においては競争入札が原則(会計法29条・地方自治法234条)であり、競争原理が働かない一者応札は好ましくありません。しかし、今回は一者応札のままで入札を進め、しかもその一者に途中で逃げられてしまった形になりました

要求過大で逃げられた?

今回は最終的な入札前に一者応札が確定していたわけですから1次審査を通過した会社にとってはライバルとの競争なしに100億円規模の仕事がとれる一見「おいしい」状況だったはずです。にもかかわらず辞退されてしまったということはこの事業で見込める利益が他の事業よりも劣ると評価された、別の言い方をすれば志木市側の要求が過大で提示された上限額でも見合わないと見放されたということではないでしょうか?香川市長はしばしば「民間活力の活用」と言いますが、最初の募集で1社しか来なかったという時点でこの入札には無理があった、「民間活力の活用」ではなく「無理な丸投げ」になっていたと気づくべきだったのではないでしょうか?

経済情勢を読み誤った失政

本件は経済情勢の急変による予測不可能な不可抗力によるものだったのでしょうか?私はそうは思いません。建設資材の高騰はすでに2年以上前からマスコミでも報道されていましたし、建設業界の2024年問題(残業規制と週休2日制確保による人手不足の加速)もとっくにわかっていたはずですので、それらの影響を読みきれずにこのような混乱を招いたのは市長の大きな失政であると言わざるを得ません。親方日の丸の公共事業なら何があっても受注希望企業はかならず来るとでもいうような旧思考にあぐらをかいていて経済情勢を読み誤ったということはないのでしょうか?

一体あといくらかかるのか?

当初の概算の1.8倍以上の116.8億円もの巨費を計上しても見向きもされないということは、さらなる予算の上積みか大幅な事業規模の縮小ということになるのでしょうか?建設資材の値が下がるまで待つという選択もありますが、すでにパルシティは壊してしまったし市が頼みとする公共施設等適正管理推進事業債は期限が令和8年までという問題もあります。市民会館と市民体育館は市民にとって身近で非常に大切な施設ですからこの問題の行方がどうなるのかしっかりと見守っていきたいと思います

市民向けにはなんの説明もなし

市のHPに広報しき4月号のPDFが公開されたので見てみましたが、なんとこの入札応募ゼロの問題に関する説明は一切ありませんでした。また市のHP内も見てみましたが、このポストの冒頭にリンクを張った記者発表資料以外には情報はないようでした(2024/3/27現在)。マスコミ向けの発表は(せざるを得ないので?)するのに市民向けにはなんの説明もしないという姿勢は他の問題でも散見されますが香川市長の政治姿勢を象徴する非常に大きな問題だと思います。こういう問題をまず最初に説明すべき相手は市民であるはずです。自分たちの街の市民会館の工事着工が延期になりそうだというニュースを市の広報ではなくネットニュースではじめて知るというのは情報の流れとして大変いびつな構図だと思います

他の箱物はだいじょうぶか?

現在、志木市は新複合施設以外にも以下のような箱物建設を計画しています。いずれも有利な公共施設等適正管理推進事業債が使えるうちにということで箱物ラッシュになっていますが、これらについても新複合施設同様の問題がおきないか見守っていく必要があると思います

  • 志木地区児童センター(新複合施設と同じ敷地に建設予定)
  • 埋蔵文化財センターと郷土資料館の複合施設(埋蔵文化財センター側に複合化)
  • 秋ヶ瀬スポーツセンター再整備(建て替え)
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>今井あさと

今井あさと

埼玉県志木市在住。敷島神社の近くに住んでます。27年間ほど都内の私立高校で非常勤講師をした後にフリーランスのプログラマを経て現在はほぼ休業中。非正規一筋の人生です(笑

非常勤講師で教えていたのは公民科(政治経済・現代社会・倫理など)。今でも政治や社会に強い関心があり、志木市の政治についても詳しく見てみようと思いこのようなブログを立ち上げました

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