いろは親水公園リニューアル検証-その3

市のランドマーク入口でくり返される英会話の勧誘

左岸のウォーターパーク手前の公園入口には某幼児・子ども向け英会話教室の勧誘員が立ちセールストークを連呼している姿がしばしば見受けられます。この公園での営利活動等の権利は管理業者のSHIKISAIパートナーズ(代表・かたばみ興業株式会社)が20年間独占する契約を市と結んでいますので勝手に営業活動はできず管理業者の許可のもと(ひいては市の許可のもと)で行われているわけですが、私は市がランドマーク(市の象徴)と標榜する公園の入口で営利企業の勧誘がくり返される姿に強い違和感を感じます。これが市長の言う民間活力なのでしょうか?リニューアルされた左岸の遊具は幼児・子ども向けのものが多く、ちょうどこの英会話教室のターゲット顧客層の年齢にマッチするので勧誘の効率が高そうだと見込んで英会話教室がSHIKISAIパートナーズと契約しているのでしょう。この英会話教室の教材はフルセットでは100万円近くするそうですがこれは市のランドマークの入口で勧誘するのにふさわしいものなのか?もし民間委託ではなく市が直接管理している公園なら決して許可することはなかったであろうことを考えるとやはり安易な民間委託は危険だと思います。公共施設である市の公園内でこういう営利活動を認めるべきではありません

管理業者のSHIKISAIパートナーズには公園の入口での英会話教室の営業許可でいくらの儲けが入るのかはわかりませんが、この営業許可はあまりにも節操のない儲け本位の経営だと思います

デザインファースト弱者ラスト

中洲の先端のプラスチックデッキの椅子は高さが80cmあります。先日みかけた光景ですが、歩行にカートの助けが必要な高齢者の方がこの椅子のところに来て川を眺めていました。椅子は空いていましたが座ろうとはしません。恐らく脚が弱っているためこの椅子に座るのには難儀するであろうこと、無理に座ろうとすれば転倒する可能性もあるだろうことなどから座らなかった、もしここにもっと座りやすいベンチがあればその方も腰を下ろしたのではないでしょうか?別の日にこの椅子とカウンターをみて「お〜まるでスタバじゃん!」と喜ぶ若い方がいました。確かに若い人・健脚な人にとってはおしゃれでいい感じのデザインかもしれません。しかしユニバーサルデザインという観点から見ればこのデザインは0点でしょう。入り口の段差や点字ブロックの問題も含めてこの公園はデザインファースト弱者ラストだと言わざるを得ません。市のランドマークとしてとても残念な光景だったと思います

なぜ水飲み場がないのか?

いろは親水公園全体を周ってみてふと気づいたのですが、水飲み場がありません。以前は左岸に1つありましたが撤去されてしまいました。最近は毎年の猛暑が普通になってしまい公園のリニューアルにあたって熱中症対策の観点から水飲み場を設置することは必須であるといっても過言ではないと思いますが、なぜかその逆に撤去されてしまいました。中洲も大量の木を伐採して芝生広場にしたため子どもたちが走り回りやすくなったと同時に熱中症のリスクも高まりました。なぜ水飲み場を設けないのか?もしそれが中洲のカフェベーカリーのドリンクの売り上げを意識してのことだとしたら恐ろしいことです。市長の好きな民間活力とはそういうものでもあるのかもしれません

ちなみに中洲の芝生広場の中央付近には散水栓が新規に設置されました。ここは以前芝生化に失敗している場所なので今度は芝生を枯らさないためにわざわざ水道を延長したのでしょう。芝生のための給水設備は作るのに人間のための水飲み場は作らないというのはいかがなものでしょうか?
中洲で唯一無料で水を使えるのはトイレの水道です。無料で水分補給したければこれを飲めとでも言うのでしょうか?出てくる水は普通の水道水ですが、不特定多数の人が用を足して手を洗う場所ですからボウルや蛇口にはその水がはねていてとてもじゃないが衛生的とは言えません
左岸のウォータパークの奥のところには一応水道がありますが用具の洗浄などのためのものらしく蛇口が高いため子どもが服や靴を濡らさずに水を飲むのは至難です。段差がある構造なので車椅子の人も使えません

民間委託で安くなったのか?

市長はいろは親水公園のリニューアルおよび管理運営を民間委託しこれにより民間活力で低コストが実現できると言っていました。しかし実際には入札したのは1者しかおらずそのままそこに決まりました。工事説明会において私はこの点について競争原理が働いていないのではないかと質問しましたが市は回答書において以下のように回答しました

整備工事にかかる費用につきましては、飲食店 舗以外のトイレや遊具、公園管理棟の新設など、 市が整備を求める工事費用を3億5,000万 円と見込み、公募を実施しました。結果として応 募は1社のみではありましたが、応募事業者よ り整備工事費用として3億1,460万円の提 案があったものであり、この提案は、公共発注の 場合と比べて10%超の費用削減効果が得られ たものです。また、より公園の魅力を高めるため の任意提案施設としてカウンターデッキや芝生 広場など、約1,400万円相当の事業者負担に よる整備提案があったことから、整備費用の縮 減と、民間投資の誘導に活かされており、競争原 理は十分に働いたものと解しています。

いろは親水公園整備・管理運営事業に関する工事説明会 質問及び回答

上限3億5000万円のところに3億1460万円で落札されたので3540万円も安くなったという言い分ですが、もしも他に入札があればもっと安くなったのかもしれません。1者応札ではこの価格が安いのか高いのかは判断できないはずです。しかも驚いたことに工事開始数カ月後の令和4年3月議会では3300万円が追加予算として認められており(別項参照)、結局差し引きでは本来の上限価格より240万円しか安くならなかったことになります。一体なぜこんなに簡単に追加予算が認められるのか不思議でなりません。なんのための入札だったのでしょうか?

またカウンターデッキや芝生広場の約1400万円がサービスされたということも書かれていますが、そもそもこのリニューアル事業において市は市民の意見を無視して中洲の大量の木を伐採して全面的に改修しようとしていたわけですから、伐採後の場所を何らかの形で整備するのは当然であり芝生広場が業者の大サービスであるかのような主張は通りません。もしこの「サービス」がなければ市は中洲の木を伐採したあとをどう使おうと考えていたのでしょうか?ただの土だけの広場にしたかったのでしょうか?

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>今井あさと

今井あさと

埼玉県志木市在住。敷島神社の近くに住んでます。27年間ほど都内の私立高校で非常勤講師をした後にフリーランスのプログラマ。非正規一筋の人生です(笑

非常勤講師で教えていたのは公民科(政治経済・現代社会・倫理など)。今でも政治や社会に強い関心があり、志木市の政治についても詳しく見てみようと思いこのようなブログを立ち上げました

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