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市民不在の形式民主主義が目立つ志木市政

一市民目線で志木市政を見つめるこのブログ、大変地味なローカルブログですが、はじめてから3年になろうとしています。この約3年間、日々志木市のHPを丹念にチェック、議会や各種委員会を多数傍聴、各種説明会などにもできるかぎり参加するなどして志木市政を見つめ続けてきて、私が非常に強く感じたことは、志木市の政策決定のプロセスは市民不在で一方的なやり方が目立つ、行政上の手続きは満たしたという形だけ作って済ませてしまう典型的な形式民主主義の手法が目立つということでした

国民健康保険税の増税

令和6年3月13日の令和6年志木市3月議会定例会最終日の採決によって「志木市国民健康保険税条例の一部を改正する条例」が可決され令和6年度からの増税が賛成多数で決定されました(水谷議員と古谷議員が反対)。増税内容の詳細は別項『悲報・令和6年度から志木市国民健康保険値上げ⁉』にまとめてありますが、この賛否をめぐる討論のなかで賛成討論をした岩下議員の発言のなかに「増税案は志木市国民健康保険運営協議会において十分に議論された。会議録も公開されている」という趣旨の発言がありましたがこれは事実に反しています

この志木市HPのスクリーンショットは増税の条例が成立し議会も閉会した3日後の3/16時点のものですが、議題である増税の条例案をめぐる第5回志木市国民健康保険運営協議会(1/29)の会議録は「調整中」のままです。別項『悲報・令和6年度から志木市国民健康保険値上げ⁉』に書いた通り条例案自体の公開は議会開会のわずか7日前、その条例案がどのような議論を経て作られたのかは条例が成立してしまった後になっても市民は知ることすらできないのです。一体これのどこが民主主義、どこが開かれた市政なのでしょうか?

国民健康保険運営協議会
そもそもこの国民健康保険運営協議会とは何なのでしょうか?これは国民健康保険法および志木市国民健康保険条例 に基づいて設置されているもので公益代表・保険医または保険薬剤師・被保険者各4名ずつの12名で構成されています。自治体によっては委員に公募枠を設けているところもありますが、志木市は公募枠がなく、12名すべてを市が一方的に選んで決めています。市のHPでは各委員の氏名と歴任期間のみが公開されており、その委員がどのような経歴でどのような考え方を持っているのか、市はどのような基準でその委員を選んだのかなど一切市民は知ることができません。また過去の会議録をみても発言者は「委員」とだけ記されていて誰の発言なのかも伏せられています。市はこの協議会があたかも市民の代表であり、ここで議論したのだから増税案は十分に民主主義的に作成されたものであり、そのうえで議会の同意を得たのであるから手続き上は何ら問題がないといいますが、被保険者からすれば自分たちで選んだわけでもない、経歴も考え方も不明なたった12人が数回会合を開いて話し合ったというだけでそれが被保険者の総意であるかのようにされて増税されるのではたまったものではありません。こういった市のやり方はまさに市民不在の形式民主主義と言わざるを得ません。なお、私はこの協議会を2回傍聴しに行きましたが、委員の話し合いは極めて低調で発言者も回数も少なく、1度も発言しない委員も目立ちました。結局は市が用意した「条例案の案」をそのまま追認して「条例案」として承認する手続きだけのための会議であったという印象をもちました

「えっ、決まる前にですか?」
私はこの問題について市の担当の方とメールや対面で質問させていただき丁寧な回答をいただいたと感謝しています。その中で1つ印象に残ったことがあります。私がこういう市民生活に大きく影響する増税などについてはその案を検討している段階、つまり条例案になる前の国民健康保険運営協議会で話し合っている段階で並行して広く市民に告知し、どの程度の規模の増税なのか、所得や家族構成によってどのような影響があるのかを丁寧に知らせて市民・被保険者の意見を聞くべきではないか?と言ったところ、担当の方は「えっ、決まる前にですか?」と驚いていました。本件の場合は国民健康保険運営協議会で市の作った条例案が承認されてしまえば、あとはそれを与党多数の議会にかけて成立という流れですので、市民の声を届けるためには条例案承認の前に告知して意見を集めるべきだと思いますが、そんなことをすれば増税案に対して反対意見が押し寄せてくることは明らかなので、とんでもないという感じなのでしょう。これはこの担当の方だけの反応ではなく志木市の政策決定プロセスの多くに共通している考え方なのではないかと感じました。反対意見にも粘り強く丁寧に対応して一歩一歩市民的合意を作り上げていく市政に転換させたい、私は民主主義とはそういうものだと思っています

介護保険料の値上げ

3月議会では介護保険料の値上げも決定されました(「志木市介護保険条例の一部を改正する条例」、水谷議員と古谷議員が反対)。この介護保険料の値上げ案については志木市介護保険運営協議会(委員13名、内公募枠2名)での審議を経た後に議会で議決されたので手続き上は問題ないとなりますが、これについても国民健康保険税の増税同様に寝耳に水という市民がほとんどなのではないでしょうか?恐らく国民健康保険税の増税といっしょに4月の広報またはHPで告知されるでしょうが、市民不在で決定してしまってから一方的に告知して済ませるやり方は間違っていると思います
江戸時代には高札というしくみがありました。支配層が一方的にきめた掟を高札に掲示して庶民に強制し逆らえば罰するというものですが、現在の志木市のやり方は形式民主主義の衣を着せた高札と五十歩百歩だと言ったら言いすぎでしょうか?少なくともガラス張りの市政というには程遠い現状だと思います。なお、私は令和5年度第4回志木市介護保険運営協議会の傍聴にも行きましたが、こちらの会議もやはり低調で発言者も回数も少なく市の案をそのまま追認するだけの会議でした

志木2中学区の合併による義務教育学校化

志木2中学区合併による義務教育学校化についてはついに読売新聞で報道されるまでに大きな問題になっていますが、地域住民がどんなに要求しても教育委員会は頑として保護者の賛否を問うアンケートをとろうとしません。教育委員会はその口実として、志木2中学区の義務教育学校化を明記した志木市小中一貫教育基本方針について議会で以下のように答弁しています(令和5年9月定例会)

この基本方針は、その策定過程において、学校長、保護者や学校運営協議会、町内会の代表者で組織する志木市小中一貫教育推進委員会でその内容を協議し、委員の意見を反映した案を教育委員会で審議し、令和4年10月に策定したものでありますので、議員ご質問の各種アンケートを実施する考えはありません。

この志木市小中一貫教育基本方針の原案は令和4年9月の第3回志木市小中一貫教育推進委員会で承認されたものですが、この志木市小中一貫教育推進委員会なるものは小中校長や町内会連合会役員などの6カテゴリーから計15名の委員で構成され、保護者も含まれるものの公募枠はなく、すべて教育委員会が一方的に選んで委嘱しているものであり、とてもじゃないがこれが市民全体の意思を代表するものであるなどとは言えません。本件のように大規模な学校再編をこんな小さな委員会で1回1時間30分程度の会議を3回やっただけで決めてしまうなどというのはもはや形式民主主義とすら呼べない横暴です。学校教育を進めるにあたって学校と保護者の信頼関係と協力は不可欠です。それをないがしろにして学校再編を強権的に進めていく教育委員会の態度は決して看過できません

<2024/3/24 追記>
学校運営協議会
上の教育委員会の議会答弁に出てくる学校運営協議会について、この委員は毎年度ごとに教育委員会が委嘱しますが、志木第二中学校の委員を6年間も務めてきたある方が令和6年度の委員の委嘱から外されたそうです。この方は志木第2中学校区の教育を真剣に考える立場から合併と義務教育学校化に反対を表明されていたそうですが、志木第二中学校の校長からは令和6年度も委嘱継続を求める推薦が出ていたのにもかかわらず、教育委員会が一方的に委嘱を拒否したそうです。このことは3月議会でも問題になり委嘱しない理由が問われましたが教育委員会は個人情報保護を盾に説明を拒否しました。これをみると教育委員会は反対する住民は排除して自分たちに都合の良いイエスマンだけを集めた学校運営協議会を作り、そこで賛成されたという形を作るためだけに利用しているのではないかと言わざるを得ません。なお学校運営協議会については現在公開されている情報も少なく、2024/3/24現在では「令和4年度志木市立小・中学校における学校運営協議会議事録の公開について」というページに令和4年度の議事録(といっても内容が非常に乏しいです)があるだけで、令和5年度の議事録は未だに公開されていません
この学校運営協議会の設置を定めた志木市学校運営協議会規則には以下の条文がありますが、反対する住民の意見を代弁する委員を排除するやり口は明らかにこの条文に違反しているのでないでしょうか?

(住民参画の促進等)

第6条 協議会は、対象学校の運営について、地域住民等の理解、協力、参画等が促進されるよう努めなければならない。

2 協議会は、地域住民等に対し、対象学校の運営及び当該運営への必要な支援に関する協議の結果に関する情報を積極的に発信するとともに、地域住民等の意見、要望等を把握し、これらをその運営に反映するよう努めなければならない。

ふれあい号の廃止

福祉バスふれあい号はとうとうこの3月いっぱいで廃止されてしまいます。この問題については別項『ふれあい号は本当にいらないのか?』『ふれあい号は本当にいらないのか?-その2』で述べましたが、説明会に参加していた高齢者の方々は口々に「自分たち利用者の知らないうちに決めてしまったのはひどい」とくり返していました。なぜ市は廃止案を決める前に利用者たちの声を聞かないのか?一体誰のための市政なのか?あまりにも一方的なやり方を強く疑問に思います

最後に

来年6月は市長選挙
3月議会では国民健康保険税の増税、介護保険料の値上げ、ふれあい号の廃止以外にも重度心身障害者手当の値下げ(8000円→5000円)、要介護高齢者手当の値下げ(8000円→5000円)などの福祉切り捨て政策が続々と市民不在で一方的に決定されていきました。いずれも最近の物価高に苦しむ人々に追い打ちをかけるようなものばかりですが、なぜ物価が落ち着くまであと1年くらいまってからという話にならなかったのでしょうか?
推測ですが、もしこれらの福祉切り捨て政策を1年まって来年4月に実施すると、直後にある6月の市長選挙では現職の香川さんに不利になります。また選挙では福祉に力をいれると宣伝するでしょうからその翌年の4月に福祉切り捨て政策を実施というのもまずい。だから今のうちにやってしまわないと…ということなのかもしれません

市民と対話のある市政を
上に述べてきた以外にも、市民会館・市民体育館複合化やいろは親水公園リニューアルについても市民の意見をきちんと聞こうとせずに一方的に進めていく手法が目立ちました。志木市を本当に暮らしやすいよりよい街にしていくためには政策決定プロセスをガラス張りにして真の市民参加による市政、市民と対話のある市政への転換が必要だと思います

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>今井あさと

今井あさと

埼玉県志木市在住。敷島神社の近くに住んでます。27年間ほど都内の私立高校で非常勤講師をした後にフリーランスのプログラマ。非正規一筋の人生です(笑

非常勤講師で教えていたのは公民科(政治経済・現代社会・倫理など)。今でも政治や社会に強い関心があり、志木市の政治についても詳しく見てみようと思いこのようなブログを立ち上げました

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