小中一貫教育推進計画(素案)への意見

志木市小中一貫教育推進計画(素案)に対する意見募集

現在志木市では「小中一貫教育推進計画(素案)」に対する意見(パブリックコメント)を募集しています(締め切り:2月19日)

私はこれまでにも何度か志木市が行う説明会に参加して発言したりパブリックコメントを送ったりしてきましたが、志木市のやり方は説明会などは時間制限がきつくて参加者が十分発言できず、とりあえず実施したという形だけ、パブリックコメントも書かせるだけ書かせて特に受け入れはしない形式的なものという印象を強く持っていますが、それでも何も言わなければますます市民不在で事が進んでいってしまうのではないかと思い自分なりの意見をまとめて送りました

私が送った意見

私が送った意見の全文は以下になります。どの程度まともに回答されるのか結果を待ちたいと思います

●全体を通して

・中1ギャップ
素案の随所に「中1ギャップ」という言葉が出てくる。すでに多数の市民が説明会等で指摘しているところであるが、国立教育政策研究所が発行している『「中1ギャップ」の真実』というリーフレットではそもそも中1ギャップという言葉自体根拠が薄弱でいじめや不登校の実態を見誤らせるものであり『「中1ギャップ」に限らず、便利な用語を安易に用いることで思考を停止し、根拠を確認しないままの議論を進めたり広めたりしてはならない。』と警告していることをきちんと受け止めるべきである

・不登校
1/20の説明会冒頭での教育委員会のプレゼン資料では中1よりも中2の方が不登校の数がかなり多かった。文科省の『小中一貫した教育課程の編成・実施に関する手引』では「小・中学校の接続面だけの取組に矮小(わいしょう)化してしまう危険性」(13ページ)を指摘しているが、素案ではまさに小6から中1への接続面ばかりが強調されており、素案4ページでも「児童生徒の「不登校」に関する調査では、中学校1年生に進学すると不登校者が増加する傾向があります」として不登校はさも「中1ギャップ」の問題であるかのようにしているが、現実には中2の方が不登校の数が多いということに一切触れていないのはこの素案の大きな欠陥である。上記文科省の手引の「小学校6年生と中学校1年生の間のケアに注力した結果,中学校2年生で不登校等が増えてしまったというケースもあります。」(13ページ)との警鐘に真摯に耳を傾けるべきである。素案4ページには一応「小中ギャップ」の語もあるが「中1ギャップ」と併記しているだけで具体的な記述は一切なく、中2中3および小学生の不登校への考察が見られないことは極めて大きな欠陥である

●志木第二中学校区

・合併後の小学校の1学級あたりの実児童数
2小と4小の小学校同士を合併すると1学級あたりの実際の児童数は合併前より増える。この点について市長への手紙の返信で市も認めているにもかかわらず、パンフレットなどでは学級定員(実際の児童数ではなく法令上の上限数)は変わらないと繰り返し、素案にも実際の1学級あたりの児童数が増えることを書こうとしない。この姿勢は極めて不誠実である。また令和5年12月25日に開かれた市長主催の令和5年度第1回総合教育会議においては本市の不登校が小中ともに大幅に増加している問題を取り上げ、市長は児童生徒一人一人へのきめ細かい対応が必要だと繰り返していたがそれとは裏腹に1クラスあたりの児童数が増える合併を進めることは市長の方針とも矛盾している

・義務教育学校の優位性
小中一貫型小学校・中学校に対する義務教育学校の優位性について、1月20日の説明会では、教育長は義務教育学校こそが理想的だと繰り返すばかりで具体的には何一つ説明できなかった。素案にもなぜ義務教育学校にする必要があるのか、小中一貫型小学校・中学校では駄目なのかがまったく書かれておらず計画書として極めて不完全である

・行政の公平性
仮に小中一貫型小学校・中学校にくらべて義務教育学校の方が優れたシステムでありそのために渡り廊下を設置するとなると、4学校区中の1つのみに特に優れた教育システムを採用しそのために多額の予算を使うことになり他の学校区に対して行政の公平性を欠くことになる

・432制
素案では志木第二中学校区のみ432制を導入し新しい教育をはじめるかのようにしているが、義務教育学校になっても学校生活でもっとも多くの比重を占める日々の授業は63制のままであることが一切触れられていないのは大きな欠陥である。異学年教科担任制を導入したからといって小6の算数の時間に中学の数学の授業をやるわけではなく、教科書・進度・授業での獲得目標などはあくまでも学習指導要領に基づいた63制の授業が行われ、授業の中身は小中一貫型小学校・中学校である他の学校区と何も変わらないということをきちんと明記すべきである

・卒業式・入学式
義務教育学校にすると小学校の卒業式と中学校の入学式がなくなることについて、市はこれにかわるなんらかの儀式をやると言うが素案においても何ら具体的に示されていない。教育上非常に重要な儀式であるのに、このままでは曖昧なまま現場任せになってゆくことは明らかであり「小中一貫教育推進計画」としては極めて杜撰かつ無責任である

●志木中学校区

・いろはさくら学園という名称について
「いろはさくら」という品種の桜があるのかという誤解を招く言葉である。通称名だからといって市内でしか通じなかったり誤解を招くような名称は避けるべきであり、「いろは・さくら学園」などとするべきである

・「文武両道」
教育目標の「文武両道」の武の説明の「自他尊重のコミュニケーション」の意味がわかりにくい

●宗岡第二中学校区

・「シン・むねおか」
宗岡二中3年の総合的な学習の「シン・むねおか」という言葉の意味がわからない。「シン・〜」は人気アニメ映画からの流行語だが、流行語には流行り廃りがあり人々が受け止める意味合いも変わりやすい。教育は子どもの一生にかかわるものなので安易に流行語に飛びつくことには抑制的であるべきである。また流行語と言っても万人が好きなわけではなく、「シン・〜」という表現自体に違和感や拒否感を持つ者もいることを考慮すべきである

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>今井あさと

今井あさと

埼玉県志木市在住。敷島神社の近くに住んでます。27年間ほど都内の私立高校で非常勤講師をした後にフリーランスのプログラマ。非正規一筋の人生です(笑

非常勤講師で教えていたのは公民科(政治経済・現代社会・倫理など)。今でも政治や社会に強い関心があり、志木市の政治についても詳しく見てみようと思いこのようなブログを立ち上げました

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